【ゲーム依存】なる子とならない子の決定的な差 中毒になりやすいのは「オンライン×戦闘系」

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では、子どもがスマホ依存になっているかもと心配になった場合、どう対応すればいいだろうか。樋口医師はこうアドバイスする。

「まずは使用時間を見直すことです。寝る2時間前はスマホを見ない、食事のときはスマホを見ない、といったルールを設けるといいでしょう。スマホを手離す習慣をつけるのは決して簡単ではありませんが、試みる価値はあります」

親が自分たちのスマホの使い方から見直すことも大切だ。家族全員がスマホを使わない時間を30分でも1時間でもいいので設けるのも一案。せめて、食事のときだけでも全員がスマホを持たず、会話をする。

そのうえで、スマホの使い方についてしっかりと話し合い、スマホを使っていい時間帯を設定するようにしたい。

依存は予防できる

「家族が面と向かって話をするなかで、親が責任を持って物事の良し悪しを子どもに伝えていかなければ、彼らはネットから“自分にとって都合のいいモラル”だけを学び続けます。それは危険です。本来の家族の直接のかかわりが取り戻せれば、依存は予防できます。ぜひ、各ご家庭でやっていただきたいです」(樋口医師)

なお、対策の1つに「ペアレンタルコントロール」など、未成年のユーザーの安全利用の機能もあるが、今の子どもはパスワードはいとも簡単に外してしまうという。

また、親がスマホを強制的に取り上げるのは、親子関係が悪化するだけで得策ではない。ゆっくり時間をかけて、本人が変わっていくのを待つしかない。

「一筋縄ではいかないでしょうが、親子のコミュニケーションがどれだけとれるかが重要です。コミュニケーションがとれて、意思の疎通ができてくれば、状況はよくなっていきます」(樋口医師)

最後に、子どもがゲーム依存に陥る背景には、親世代のゲームへの親和性の高さもあることを、伝えておきたい。

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「今の親がゲーム世代なので、ゲームに対して非常に寛容なケースが多いように思います。実際、親がゲームしているのを、お子さんはそばで見ていますし、一緒にやったり、教えてくれたりもします。ゲームの時間が長くなっても、『自分が大丈夫だったから』と子どもに許します。だいたいそういうことをするのは父親です」

これに対して母親は反対することも多いのだが、実はこれもあまり勧められない。その理由を樋口医師はこう話す。

「ゲーム依存のお子さんの場合、ご両親の仲が悪いことが多い。子どもにとっては両親の意見が大事なのに、2人の意見が違うと混乱します。それぞれの主張があるでしょうが、お子さんに対しては同じ情報を発信するために、できる限り意見を調整するべきです」

ネット依存の専門外来ではどんな治療が行われるのか。次回の記事で紹介する。

(取材・文/熊本美加)

次回記事:【ゲーム依存】使用時間減「治療キャンプ」の中身

樋口進医師
国立病院機構久里浜医療センター名誉院長・顧問
樋口進医師

東北大学医学部卒業。アメリカ国立保健研究所留学、独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターの副院長、院長を経て現職。主な著作に『ゲーム・スマホ依存から子どもを守る本』(法研)、『Q&Aでわかる子どものネット依存とゲーム障害』(少年写真新聞社)など。
東洋経済オンライン医療取材チーム 記者・ライター

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とうようけいざいおんらいんいりょうちーむ / TKO Iryou-Team

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