瞑想を続けた人が他者の苦悩に接して見せる反応 共感や慈悲心が高まり、心が穏やかになる

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それぞれのグループは、他者の苦悩にどのような表情を浮かべたのでしょうか。

実験の結果、順序待ちグループに比べ、瞑想を実践したグループは、映像に対して、悲しみ表情をより多く生じさせ、怒り・軽蔑・嫌悪表情をより少なく生じさせることがわかりました。

さらに、四無量心テクニック瞑想により多くの時間を費やした参加者は、さらに多くの悲しみ表情を生じさせることがわかりました。一方、両グループ間において、主観的に抱かれる感情の程度に差異は見いだされませんでした。

左から悲しみ、怒り、軽蔑、嫌悪の表情(写真提供:空気を読むを科学する研究所)

悲しみ感情は共感や慈悲心に関連する感情です。苦しんでいる他者に悲しみ感情を抱く人は、人の苦しみに共感し、その人を助ける行動をとる可能性が高まります。怒り・軽蔑・嫌悪感情は拒否に関連する感情です。苦しんでいる他者に怒り・軽蔑・嫌悪感情を抱く人は、その人の苦しみから距離を置き、関心を抱かないようにし、その人を助ける行動をとらない可能性が高まります。

慈悲心という感情に寄せて考えれば、3カ月にわたる集中的な瞑想は、六道世界を超えた仏の世界、仏の心に近づくといえるかもしれません。

3カ月間、瞑想に没頭することはほとんど不可能だと思いますが、1日の終わりに15分程度、静かな環境に座し、目をつむり、ゆっくりと鼻から息を吸い、さらにゆっくりと鼻あるいは口から息を吐く。心に浮かんできたその日の出来事を思惟し、反省し、明日への糧とする。心を落ち着け、新年の気持ちを忘れないために、こうした瞑想を日々の習慣にしてみるのはいかがでしょうか。

清水 建二 株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役

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しみず けんじ / kenji shimizu

1982年、東京生まれ。防衛省研修講師。特定非営利活動法人日本交渉協会特別顧問。日本顔学会会員。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。著書に『ビジネスに効く 表情のつくり方』イースト・プレス、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』フォレスト出版、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』飛鳥新社がある。

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