瞑想を続けた人が他者の苦悩に接して見せる反応 共感や慈悲心が高まり、心が穏やかになる
初詣に行き、昨年の出来事や反省を報告し、新年の誓いや願い事をする。多くの方にとっての恒例行事かもしれません。神や仏の存在を意識し、一年で最も精神性が高まる。新年の空気を吸い込み、「今年はこんな年にしよう」と目標を立てることで、身も心もピシっと引き締まる。そんな体験をされたのではないでしょうか。
一方、仕事始めが過ぎ、日々の忙しさに身を任せていると、新年に抱いた誓いや目標は次第に薄れ、春の風を感じる頃には、忘却の彼方。落ち着いた気持ちを保ち続け、時折、目標を振り返り、目標に少しでも近づく意識を忘れたくないものです。
そこで、本日は、筆者の専門である感情心理学の視点から、冷静な気持ちを保ち、自分を見失わない方法を紹介したいと思います。
その方法とは、瞑想です。瞑想と聞くと、仏教の修行が思い起こされます。そこから仏教的な要素を除いたマインドフルネスが開発されたり、Googleなどの世界的に有名な企業の社員研修に取り入れられたりすることで、瞑想が親しみを持って広く知られるようになりました。
ストレスやネガティブ感情をフリーにする瞑想
瞑想についての科学的な研究は、1970年代のアメリカで進められました。総調査・実験参加者1714人からなる26の研究を統合的に分析した近年の研究によると(Lubertoら, 2018)、瞑想トレーニングは、共感力や思いやりの心を醸成し、親切な行動を喚起させることがわかっています。こうした感情や行動の根底には、ストレスやネガティブな感情から解放された、ポジティブでリラックスした心の状態があります。
瞑想の具体的な効用を、Wuら(2019)及びRosenbergら(2015)の研究から深めたいと思います。
Wuらは、心身健康な男女42名の実験参加者を、①マインドフルネス瞑想を実践するグループ、②感情を統制する方法を実践するグループにランダムに分け、マインドフルネス瞑想が感情に与える影響を調べました。
マインドフルネス瞑想を実践するグループは、十分な経験を有する指導者からマインドフルネス瞑想に関するレクチャーを30分受けます。そして、瞑想誘導のためのガイドを1分受けた後、マインドフルネス瞑想のエクササイズを15分間行います。
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