瞑想を続けた人が他者の苦悩に接して見せる反応 共感や慈悲心が高まり、心が穏やかになる

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短時間の瞑想エクササイズでも、私たちの心の持ちように種々の変化がもたらされることがわかりました。それでは、長期にわたる瞑想を行うとどうなるのでしょうか。Rosenbergら(2015)の研究に答えがあります。

Rosenbergら(2015)は、瞑想経験のある男女60名の実験参加者を、瞑想を実践するグループと順序待ちグループにランダムに分け、瞑想が感情に与える影響を調べました。

瞑想を実践するグループは、経験豊富な仏教指導者からサマタ瞑想と四無量心(しむりょうしん)テクニックの指導を受け、エクササイズを行います。

サマタ瞑想は、リラックスした状態で、参加者自身の感覚や心に浮かぶものに意識を集中する形式で瞑想を行います。四無量心テクニックは、対象の人物を想像し、慈しみ、憐み、その人の幸福を共に喜び、平静な気持ちを維持できるように意識する形式で瞑想を行います。

他者が苦悩している映像を見ると…

参加者は、毎朝、指導者に指導を受け、ほとんどの時間を一人で瞑想して過ごします。そして、1日の終わりに瞑想エクササイズの記録をつけます。これを3カ月間行います。

この3カ月の間、順序待ちグループの参加者は、瞑想エクササイズを行わず、自由に過ごします(なお、本実験終了後に、このグループは、瞑想を実践するグループと同じトレーニングを受けることができるため、順番待ちグループと名付けられています)。

それぞれの3カ月を過ごす前後において、各参加者に、他者が苦悩している場面が映し出される映像を見てもらい、どんな感情をどの程度抱いたか、報告してもらいます。そして、この映像を観ている参加者の表情をビデオで撮影し、測定します。

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