瞑想を続けた人が他者の苦悩に接して見せる反応 共感や慈悲心が高まり、心が穏やかになる

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瞑想誘導のガイドとエクササイズを7日間続けて行います。感情を統制する方法を実践するグループは、感情に関する教育及び感情を統制する方法に関するレクチャーを30分受け、感情の統制ができるようにエクササイズを15分間行います。このエクササイズを7日間続けて行います。

それぞれのエクササイズを行う前後において、各参加者に強い感情が喚起される写真を観てもらい、どんな感情をどの程度抱くかを計測します。

実験の結果、エクササイズ前に比べ、マインドフルネス瞑想を実践するグループは、ポジティブ・ネガティブ問わず、強い感情を喚起される写真に対し、強い感情を抱かないようになることがわかりました。

一方、感情を統制する方法を実践するグループは、ネガティブな写真に強いネガティブ感情を抱くようになることがわかりました。

実験の結果を単純化すると、たった15分×7日のマインドフルネス瞑想で、強い感情刺激に直面しても、心が動きにくくなる。特に、ネガティブ感情についてそれが当てはまるといえるでしょう。

心穏やかな「人間界」

仏教思想の中に六道輪廻と呼ばれるものがあります。死後、生きていたときの善行や悪行に応じて、地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界・人間界・天界という六道世界のどこかに生まれ変わる、そんな思想です。

この六道世界は、死後だけでなく、生きている私たちの心の中にも存在していると考えられています。怒りにとらわれていれば地獄界に、欲に溺れていれば餓鬼界に、本能のままに生きていれば畜生界に、我を押し通し争ってばかりでいれば修羅界に、平穏な状態を保っていれば人間界に、喜びで過ごしていれば天界にいるのと同じ状態だと説かれます。

感情が刺激されても平静なままでいられるというマインドフルネス瞑想の効果と六道世界を重ねると、マインドフルネス瞑想は、私たちを地獄・餓鬼・畜生・修羅界の感情状態に陥らせず、心穏やかな人間界にとどまらせる力がある、と考えることができそうです。

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