個人投資家は「5銘柄」への分散がちょうどいい訳 リスクとリターンの最適バランスを知るべきだ

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また、過度な分散は、投資パフォーマンスの平均化につながります。極端な話、日経平均株価は225銘柄の分散投資ともいえますから、過度な分散投資は、主要株価指数と同程度の投資パフォーマンスに回帰してしまうということです。せっかくの効率的な投資法を生かすためにも、個人投資家は5銘柄程度への分散がよいと、私は考えています。

なお、よく受ける質問に「投資予算が少ないため5銘柄に分散できない場合はどうすればいいか」というものがあります。

たとえば予算が500万円ではなく100万円の場合、5銘柄に分散すると1銘柄当たり20万円になって、買える対象が限られてしまいます。その場合は、5銘柄分散にこだわるのではなく、自分がよいと思う銘柄に投資することを優先させてください。場合によっては、2銘柄や3銘柄に分散することになりますが、要は「分散してリスクを減らす」ことが重要なのです。

投資タイミングも5回に分散する

また、1銘柄に投資する資金も5分割して、5回に分けて購入します。たとえば、株式投資に使える総資金が500万円の場合、5銘柄に分散すれば1銘柄当たりの資金は100万円です。これをさらに5回に分けて購入しますので、1回当たりの投資上限は各20万円となります。

実際に投資した場合には10%の損失が発生した時点で損切りをします。 

最初に20万円を投資して、10%で損切りすると2万円の損失になります。総資金500万円のうちの0.4%ですから、かすり傷で済んだといえます。

初回の20万円は試し玉です。自分の投資行動が正しいかどうかを判断するために、まずは5分の1の資金を実際に投資して確かめるわけです。購入後に株価が上昇して含み益が出る場合には、自分の買いが正しかったと考えられますので、さらに5分の1の資金を投入して買い増しをします。

試し玉で含み損が出ている場合には絶対に買い増しはしません。 

なお、こちらもよく受ける質問ですが、1銘柄当たりの投資予算が少ないため5回に分けて買うことができない場合はどうすればいいのか。たとえば1銘柄当たりの予算が20万円の場合、5回に分けると1回当たり4万円になって、買える対象がかなり少なくなってしまいます。その場合も、5回にこだわるのではなく、「できる限り分割買いをしてリスクを減らす」ことを意識してください。5回が無理であれば、3回や2回でも結構です。

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