個人投資家は「5銘柄」への分散がちょうどいい訳 リスクとリターンの最適バランスを知るべきだ

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ここでラルフ・ビンスの実験を紹介します。

抽選箱に当たりが6本、はずれが4本入っていて、当たりが出れば掛け金は2倍、はずれが出たら掛け金は没収されます。元手は100円で、100回抽選できます。1回ごとの掛け金は、ゲーム参加者が毎回自由に決めることができます。100回抽選した後の手持ち金額が最も多かった人が勝者となります。

10本中当たりは6本ですから当たりが出る確率は60%です。勝率が50%未満であれば、回数を重ねるほど損失が膨らんでいきますが、この場合は勝率60%ですから、基本的には回数を重ねるほど儲かるゲームです。

ところが実際にゲームに参加した40人のうち、38人(95%)が損失を出したり、元手を失って破産したりしたそうです。これは、「勝率が高くても、1回当たりの掛け金の額を間違えると、損失で終わってしまう」という教訓です。

最も効率のいい銘柄分散は5分割

つまり、分散投資が重要になるわけですが、新高値ブレイク投資では銘柄数の分散とエントリータイミングの分散が重要になります。

また、株価が上昇すると考えて投資したにもかかわらず下落してしまった場合には、ロスカット(損切り)して損失の拡大を防ぎます。

たとえば、1回目でいきなり全額の100円を賭けてはずれが出ればそこで破産します。あるいは、2回に分けて50円ずつ賭けたとしても、2回連続ではずれが出れば破産です。

では、投資効率のいい掛け金の決め方はどんな方法でしょうか。それは手持ち資金の20%をかける方法です。つまり、資金を5分割するのです。この場合、仮に4連敗しても破産しません。20%ずつの資金で100回抽選すると、最終的に資金を7倍以上に増やせるという計算結果が出ています。

また、銘柄分散についても、5分の1ルールを採用しています。投資対象は最大5銘柄に分散して、1銘柄に投資する資金も5分割して5回に分けて購入します。

まず、5銘柄に分散することで、株式市場全体のリスクとは関係のない会社固有のリスクをかなり減らすことができます。投資した企業に大事故や深刻な不祥事が発生すると、株価が暴落することがありますので、銘柄分散で破滅的な痛手を受けないようにします。

銘柄数を増やせば増やすほどリスク分散効果が高まりますが、個人投資家が投資に利用できる時間は限られます。とくに兼業投資家の場合、10銘柄を超えると、四半期ごとに発表される決算内容のフォローなどの管理が追いつかず、手に負えなくなってしまいます。

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