個人投資家は「5銘柄」への分散がちょうどいい訳 リスクとリターンの最適バランスを知るべきだ

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試し玉の意味は、自分の判断が本当に正しいかどうかを見極めるためです。含み益が出れば正しかったことが証明されたことになりますが、含み損が発生した場合は、自分の判断が間違っていた可能性が高いため、あらかじめ決めていた損切りラインで損切りを行います。

私の場合、損切りの最大許容率は10%としていますが、テクニカル的なサポートラインを下割れた場合には、5%の場合でも損切りします。 

まずは試し玉を使って慎重に行動する

試し玉は、言い換えれば湯加減を見るようなものです。最近は簡単に温度調整が可能なので、お風呂の湯加減を見る必要はないかもしれませんが、昔のように薪で湯を沸かす場合、風呂に入るときには、まず足先を入れて熱いか冷たいかを確認します。

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湯加減がちょうどよければ安心して入浴することができます。試し玉も株式市場に足先を入れて湯加減を確かめる行動に似ています。試し玉を入れることでいきなり大きな金額を失うリスクをかなり下げることができます。

一気に浴槽に飛び込んで、飛び込んだ後に熱湯だったことに気づいたら、全身大やけどを負いますよね。そうなることを避けるために、まずは試し玉を使って慎重に行動するのです。

1回の投資金額を金額ではなく、比率で決めるのは、別の効果もあります。勝っているときも負けているときも5分の1ずつエントリーするので、損失が続いているときは1銘柄当たりの投資上限が小さくなります。ここがとても重要です。

たとえば、当初500万円あった投資資金が損失で400万円に減ってしまった場合、次の取引では1銘柄当たりの予算は400万円÷5で80万円となります。これを5分割で投資しますから、1回当たりの投資資金が各16万円です。この場合、試し玉で失敗して10%で損切りしても、損失は1.6万円です。当初の2万円の損失から小さく抑えられていることが重要です。不調になるほど損失が小さくなる仕組みです。

反対に投資がうまくいって総資金が600万円に増えた場合には、1銘柄当たりの投資金額は120万円、1回当たりの投資金額は24万円です。10%の損切りで2.4万円の損失になりますが、成功した場合にはより大きな利益が得られます。好調になるほど、利益が大きくなる仕組みです。

ここで買い(エントリー)のルールを整理すると次のようになります。 

〈買いのルール〉 
1 初回のエントリーは投資上限額の5分の1の金額で試し玉を入れる 
2 含み益が出た段階で5分の1ずつを適切な買いポイントで買い増す 
3 最初のポジションで含み損が出ている場合は買い増しをしない 
4 タイミングを失したときは、本来の買いポイント近くまで反落した後の反発を狙う、または、次の買いポイントを待つ 

(編集部注:本記事は特定の株式の購入を推奨するものではありません。株式投資は、さまざまなリスクを正しく認識したうえで、ご自身の判断と責任に基づいて行なってください)

DUKE。 個人投資家

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でゅーく。

個人投資家。テクノファンダメンタル派。米国公認会計士。慶應義塾大学を卒業後、東証1部上場企業に入社。管理会計、経営計画に長く携わり、経営陣への収益分析報告の責任者を務める。2003年、結婚と同時に株式投資を始める。手痛い大失敗を繰り返すも、ライブドアショック、リーマンショックを乗り越える。その後、ウィリアム・オニールの投資法に出会い、開眼。以来、自身の「新高値ブレイク投資術」の改善を続けている。2014年、株式投資での累計利益が1億円を突破。2016年の日経平均株価がマイナスに沈む厳しい環境下でも、1億円の利益を達成。家庭では3児のイクメンパパ。好奇心が旺盛で、旅行と新しいことが大好き。将来、宇宙旅行に行く予定。東京おもちゃショーに家族を連れて行くかたわら、玩具会社の銘柄調査や流行チェックを行うなど、楽しみながら一石三鳥の株式投資を実践している。個人投資家に役立つ情報発信を目指して、日々、ツイッターやブログを更新中。著書に『1勝4敗でもしっかり儲ける新高値ブレイク投資術』(東洋経済新報社)がある。

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