マック「値上げの成否」が日本経済の命運を握る訳 ハンバーガーの値段は150円から170円に

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日本とは違い、大幅なインフレ経済に苦しんでいるのが欧米各国ですが、この年末年始、私も3年ぶりにアメリカを訪問してその価格上昇の洗礼を受けてきました。都市や場所による違いはありますが、例えばビッグマックは1個5.47ドル、日本円にすれば約720円と日本の1.6倍です。

一方で、これはカルフォルニア州の例ですがマクドナルドのアルバイトの最低時給は22ドルに設定されています。日本円にすると2900円という驚くべき水準の時給です。

ちなみにカルフォルニア州ではチップがもらえないファストフードの最低賃金は、チップがもらえる飲食店よりも高く設定されます。そしてここまで賃金が上がっているからこそ、大幅な値上げが起きていてもアメリカ経済はそれでもなんとなく好況を呈しているのです。

日本経済の発展には賃上げが不可欠

そのアメリカ経済も2023年はいよいよ失速してリセッション(景気後退)に突入しそうです。IMFの予測によれば2023年にいちばん経済がまともな発展をみせそうな先進国が日本だとされています。その予測どおりになるには日本で値上げが常態化するとともに、賃上げも常態化する状態を作っていかなければなりません。

そして企業が賃上げをするためにはどうしても原資が必要です。その観点で見て1月6日に発表された日本マクドナルドの価格改定表は「ちょうどいい値上げ幅」に私には見えます。そして今後発表される月次データでもし値上げにもかかわらず、客単価も売り上げも順調に増えることになれば、非正規労働者の賃上げ原資が確保できることになるわけです。

どうしてもこのご時世、値上げと聞くと反発する気分を抱えてしまう人が多いとは思いますが、私は日本経済のためにも今回のマクドナルドの値上げ戦略、なんとか応援したいものだと考えています。

鈴木 貴博 経済評論家、百年コンサルティング代表

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すずき たかひろ / Takahiro Suzuki

東京大学工学部物理工学科卒。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)を経て2003年に独立。人材企業やIT企業の戦略コンサルティングの傍ら、経済評論家として活躍。人工知能が経済に与える影響についての論客としても知られる。著書に日本経済予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』(PHP)、『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』(講談社)、『戦略思考トレーニングシリーズ』(日経文庫)などがある。BS朝日『モノシリスト』準レギュラーなどテレビ出演も多い。オスカープロモーション所属。

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