マック「値上げの成否」が日本経済の命運を握る訳 ハンバーガーの値段は150円から170円に
一時はデフレ時代の勝ち組ともてはやされたマクドナルドは2002年に赤字転落し、社長交代がおきます。そして2004年に社長に就任した原田泳幸氏は値下げ戦略を見直します。ただこのとき、メニュー全体としては価格を引き上げる一方で、100円マックというお手頃メニューを残すという形になりました。
日本マクドナルドは2014年から2015年にかけて品質面での不祥事が相次ぎ業績を大幅に落とします。背景にはリストラが進んだことで店舗オペレーションが回らなくなったことが原因だと当時報道されました。この時期がデフレ期の中で客単価が最も低くなった時期で、従業員を減らすことでつじつまを合わせようとして無理が生じたわけです。
その後、新経営体制の下でテコ入れされ、客単価もじりじりと回復する中で主に顧客数が戻ってきたことで業績は安定的に向上します。
低価格戦略は2019年まで続いていた
マクドナルドのIR資料からこの日本マクドナルドの業績回復の歴史を分析するグラフを作ってみました。
※外部配信先では図を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください
このグラフからわかることは、日本マクドナルドの低価格戦略は結局のところ、その後2019年まで続いていたことです。価格を示す客単価は2004年の原田新社長登場後も15年間にわたりデフレ状態が続いていました。
そして客単価のドラスティックな変化は2020年のコロナ禍で起きます。日本全体で飲食業態が苦境に陥り、客数は頭打ちになりましたが、日本マクドナルドはデリバリー客の単価向上が寄与する形で売上高が増加していきます。
マクドナルドの低価格戦略は2019年のコロナ禍を境に終わりを告げ、値上げ戦略への転換が起きたとともに、その値上げ戦略に日本マクドナルドは成功しているとグラフからは読み取ることができます。
今から10カ月前、2022年3月の値上げでそれまでの100円マック(税込110円)メニューのハンバーガー、チキンクリスプ、ソーセージマフィンが130円に値上げされ、昨年9月の再値上げでそれぞれ150円に、そして今回の値上げで170~180円に値上げされることでデフレ時代を象徴する低価格メニューはマクドナルドの店頭から消え去ることになりそうです。
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