認知症の両親が活力を取り戻した“推し活"の力 「Be supporters!」に学ぶニッポンの幸福の形
人生100年時代、誰もが幸福な長寿人生を生きるためには「異世代間の共感」が必要だと説くのは、イギリスの経営学者であり『ライフ・シフト2 100年時代の行動戦略』著者のリンダ・グラットン氏だ。
社会で最も孤独を感じやすいと言われる高齢者が、若い世代を含む地域や家族とつながる社会的発明が求められているという。
Jリーグの複数のクラブと連携し、「Be supporters!(サポーターになろう!)」プロジェクトを行っているサントリーウエルネスの沖中直人社長と、「人生100年時代」の提唱者であるグラットン氏が、人生100年時代の幸福について対談を行った。その模様をお届けする。
長い人生を主体的に楽しむ機会を
沖中直人(以下、沖中):人生100年時代にあって、多くの方が高齢になり認知症をはじめとする身体の不具合とともに生きていく可能性がある中、いくつになっても人生をワクワク過ごせる機会を提供したい。
これが、「Be supporters!(サポーターになろう!)」プロジェクトの基本的なコンセプトです。
具体的には、高齢者や認知症の方など、普段は周囲に「支えられる」機会の多い人が、地元サッカークラブの「サポーター」となることで、クラブや地域を「支える」存在になっていくことを目指す取り組みです。
この取り組みが始まった2020年から参加しているのは、富山市にある「社会福祉法人 射水万葉会 天正寺サポートセンター」という高齢者施設です。
当初、高齢者の方にとって、スポーツと言えばお相撲と野球で、サッカーの応援を楽しむことは難しいのではないかという指摘もありました。
ですが実際始めてみると、皆さんが地元のクラブチームを熱中して応援するだけでなく、お気に入りの選手までいて、驚きました。
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