ゼロコロナ緩和でも経済が回りそうにない中国 ファンキー末吉が見た中国広州・マカオでのドタバタ

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ゼロコロナの時代には、感染者は強制的に収容施設に送られ、厳しい隔離を余儀なくされていたが、今は「自主的に」自宅療養、つまり「医者にかかるほど重症でなければ自宅で療養して治しなさい」ということだ。

抗原検査キットを使用する筆者。見事に陽性(写真・筆者撮影)

昔のように、強制的に毎日PCR検査を受けさせられるような状況ではないので、実際感染したかどうかは自宅で抗原検査をすることになる。しかし、この抗原検査キットが品切れでなかなか手に入らない。

バンドからあてがわれた私の検査キットはたった1つ。キットに付属している綿棒で鼻の奥をぐりぐりし、検査薬の中に綿棒を漬けて、その検査薬をキットに数滴垂らして結果を待つ。

感染したほうが重宝がられる

検査をする時期が症状からみて早すぎると陽性反応が出ないというので、喉の痛みなどがおさまった数日後に検査したら見事陽性! そのまま自宅で「自主隔離」生活に突入する。

隔離は人生7度目になるが、以前のように感染もしてないのに強制的に隔離されるのと、こうして「病気」なのだから「自主的に」外に出ずに療養しているのとは精神的に大きな違いがある。

検査キットが1つしかないので、いつ陰性になったかははっきりとはわからない。ただ、目安として「症状が出てから1週間ぐらいして症状がなくなったら」と言われているので、とりあえず1週間ほど経った頃突然、1つの仕事が舞い込んだ。「张蔷(ZhangQiang)」という女性歌手のプチツアーの仕事である。

完全に陰性になっているのかどうかは知るよしもないが、例えば重慶市当局は2022年12月18日、行政機関や企業に対して「感染しても軽症や無症状であれば出勤を認める」との通達を出していた。重慶がそうなら、もう1週間経っているのでツアーに参加しても大丈夫だろうということでツアーに参加した。

初対面のミュージシャンもいたが、そのすべての人間がすでに感染済みだった。ゼロコロナの時代には「陰性であること」が仕事をする絶対条件だったが、今は逆に「感染したことがある」ほうが重宝がられるという現実がある。

なぜ突然こうして私が呼ばれたかと言うと、ツアーメンバーのドラマーが突然参加できなくなって、ツアー先で1回リハーサルをしただけで全曲叩けるドラマーが必要だということで、私に白羽の矢が立ったらしい。

ツアーは2022年12月22日に広東省の広州、24日に福建省の厦門(アモイ)、そして25日に広東省の深圳ということだったが、最終日の25日の深圳は中止。なぜかというと、感染者爆発のためチケットキャンセルが多すぎて興行が成り立たないと言うのだ。

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