博報堂と電通も熱視線注ぐメタバース広告の裏側 制作自由度は高いが「ディストピア」の懸念も

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電通にはメタバースなどを活用して企業の事業成長支援などを行うグループ横断組織「XRX STUDIO」がある。XRX STUDIOを主宰する金林真氏によれば、看板広告の効果が低いのにはメタバースならではの事情がある。

「メタバースでは、視野角や解像度、焦点距離の調整などの問題から、とくに注目したいもの以外には意識が向きにくいという特性がある。そのため看板広告のような周辺視野を活かした広告の認知が現実よりも弱い」(金林氏)

一方で金林氏は「例えばボートレースの会社なら、ボートレース会場をメタバース内につくってレースに参加できるようにするなど、体験と紐付いた広告は効果が高い」とも指摘する。

広告効果を最大化するには、広告を掲載する企業側も、メタバースの特徴と自社サービスとの関係性も理解しておく必要があるということだろう。

「ネット広告の次」を見据えた戦い

電通が2022年2月に発表した広告費の調査レポートによれば、インターネット広告費が2021年に初めて、マスコミ4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)の広告費を上回った。広告業界は大きな変化の波にさらされており、各社はリソースを次の主たる媒体にシフトし始めている。

そうした中での博報堂や電通のメタバースへの取り組みは、インターネット広告の次を見据えた動きといえる。XRX STUDIOの金林氏は、今メタバースに注力する理由について「まだそれほど注目されていないが、次に来るメディアだと考えている」と話す。

そう遠くない将来、メタバースが広告掲載の主要メディアとなっている可能性は十分にある。手ごわいメタバース広告を制するのは誰か。その戦いはすでに始まっている。

髙岡 健太 東洋経済 記者

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たかおか けんた / Kenta Takaoka

宮崎県出身。九州大学経済学部卒。在学中にドイツ・ホーエンハイム大学に留学。エンタメ業界担当を経て、現在はM&Aや金融業界担当。MMTなどマクロ経済に関心。

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