博報堂と電通も熱視線注ぐメタバース広告の裏側 制作自由度は高いが「ディストピア」の懸念も

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さまざまな種類のメタバース広告
さまざまな種類のメタバース広告。国内外でメタバースへの広告導入が急速に進んでいる(左画像:博報堂DYホールディングス、右画像:電通グループ)

「広告がビジネスとして拡張を続けていくと、生活者のプライベートな空間を過剰に浸食するようにもなっていきます。とくにインターネットでは、広告によってサイトの美観や体験の質が下がる場面も生まれるようになりました」――。

広告代理店大手の博報堂DYホールディングス(以下、博報堂)が2022年11月に公表した、一冊のレポート。XR技術の研究開発などに取り組むMESONとともに、メタバースが世の中に与える影響などを分析したもので、その中に冒頭の一節が登場する。

広告を生業にする博報堂が、まるで自虐とも受け取れる内容を記したのには理由がある。

メタバース広告でのフェイスブックの失敗

メタバースとは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の技術を用いてインターネット上につくられた仮想空間のこと。『フォートナイト』や『マインクラフト』のようなオンラインゲーム空間なども含めて定義されることが多い。

そんなメタバース内の「広告」をめぐり、2021年にアメリカでとあるニュースが話題となった。

メタ(旧フェイスブック)が、同社デバイスで提供するコンテンツ内において広告表示のテストを実施すると発表。すると、その広告テストを行うと発表したゲームタイトルの販売ページでユーザーから多数の批判コメントが集まり、ゲームの開発元がテストへの参加を撤回する事態が起きたのだ。

単にゲームを楽しみたいユーザーにとって、広告が煩わしく感じるのはメタバースに限った話ではない。ただ、没入感が命とも言えるメタバースにおいては、自分が望んでいない広告が表示されることに対して、より強い拒否反応が生じやすい側面がある。

メタ担当者によれば、現在はVRでの広告配信を行っていないが、「VRで広告を提供することは、自立したプラットフォームを作るための重要な要素であると考えている」という。広告収益を柱とし、メタバースの旗振り役でもある世界的な大企業ですら手間取っていることからもわかるように、メタバースへの広告の導入は一筋縄ではいかないようだ。

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