博報堂と電通も熱視線注ぐメタバース広告の裏側 制作自由度は高いが「ディストピア」の懸念も

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メタバース内における広告表示の取り組みは、日本でも進み始めている。

博報堂傘下のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアムは2022年5月、国内企業向けにアメリカのオンラインゲーム「Roblox(ロブロックス)」上での広告枠の販売を開始した。メタバース向けの広告販売は国内では初となる。

博報堂DYホールディングスの水島社長
博報堂DYホールディングスの水島正幸社長。「生活者インターフェース市場フォーラム2022」で、メタバースが社会にもたらす変化について講演した(写真:博報堂DYホールディングス)

冒頭のレポートの執筆に関わった博報堂の目黒慎吾氏によれば、ロブロックス内での広告の表示形式はいくつかあり、2Dのバナーや動画、3Dの物体広告もあれば、空間自体がプロモーション仕様になっていることもある。アバターやキャラクターを使った広告などもあるという。

リアルだと莫大なコストがかかる広告も、メタバースでは物理的制約にとらわれず簡単につくれてしまう。さらに広告の効果を高めるために、メタバース内での行動履歴だけでなく、VRゴーグルを着けた状態での視線の動きまでも追跡が可能だ。

自由度が広がり、よりユーザーにリーチしやすい半面、過剰なまでの広告とモニタリングでユーザーの嫌悪感を生じさせるなど、容易に「広告ディストピア」になり得る危険性も秘める。

「広告が体験としてよいものになっているか、邪魔をするものになっていないか、生活者と企業を適切につなげられているのかなど、さまざまな視点から考える必要がある」。目黒氏はそう指摘する。冒頭に挙げたレポートの一節も、そうした自戒としての意図が込められている。

看板を出すだけでは広告効果は低い

メタバース広告に注力しているのは博報堂だけではない。電通グループ(以下、電通)は2022年11月、電通ベンチャーズを通じて、「ロブロックス」上で遊べるゲームを開発・制作するロフォーコ社への出資を発表した。「ゲーム領域での開発力向上などを目的としているが、将来的にはロブロックス内でのマーケティングなども想定している」(電通ベンチャーズ・笹本康太郎氏)という。

電通は9月に開催された「東京ゲームショウ2022」で、バーチャル会場の企画・運営を担った。そこではゲーム関連企業だけでなく、プロモーション協賛企業やアパレル協賛企業の参加も可能とした。2021年の東京ゲームショウにおいても、NTTと共同でメタバースでの広告モデルの実証実験を行った。

それらの結果から得られたのは、単純に看板を出すだけではユーザーの行動変容を促す効果は低いというデータだった。

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