「おいコラ!」の意外な語源でわかる日本語の変化 新しい言葉が生まれるのは「言葉の乱れ」ではない

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怒鳴る 怒るビジネスマン
怒鳴る言葉のようですが本来の意味は違うのです(写真:天空のジュピター/PIXTA)
「田中様でございますね」」「鈴木部長が参られました」「この本、読まさせていただきます」「とんでもございません」
“がんばれば、がんばるほど”間違えてしまう敬語。意外と間違えて理解しているビジネスパーソンは意外と多いかもしれません。「話し言葉」と「書き言葉」のプロがまとめた『がんばらない敬語』から一部抜粋、再構成してお届けします。

「若者の言葉が乱れている」の誤解

「若者の言葉が乱れている」というのは、いつの時代にも言われることです。鎌倉時代から既に指摘されていた、いや、平安時代から指摘されていた、などとされていますが、もしかしたら人間が言葉を使うようになってからずっと、言われ続けていることなのかもしれません。

言葉は、時代とともに変化していくものです。それは、本来は誤っている使い方が次第に定着していった結果として変化したものかもしれないし、類まれな言葉のセンスを持った天才が生み出した新しい表現が浸透していったものかもしれません。それらの変化はどちらも衰退でもなければ成長でもないと感じています。ポジティブな変化であるのかネガティブな変化であるのか、リアルタイムには判断できないからです。

だから「若者の言葉が乱れている」のではなく、「変化している」に過ぎないのです。

私が大好きなイラストレーターのみうらじゅんさんは、言葉の新しい表現を生み出す天才です。今では誰もが日常語のように使っている「マイブーム」という言葉は、みうらさんが作り出した言葉です。

本来「ブーム」というのは一時的に熱狂的な人気の対象となることで、多くの人が熱狂しなければブームにはなりえません。でも、世間の熱狂に関係なく自分の中で巻き起こる「個人的な流行」は、きっと誰もが経験あることだと思います。

他人がどう評価しようと、自分にとっては尊いもの。熱狂しているのは私だけかもしれないけれど、いまはコレに夢中なんだからいいじゃない。そんな感覚を引き起こすものが「マイブーム」です。みうらさんが「マイブーム」という言葉を生み出す前は、この衝動的な感覚のことを何と呼んでいたのか、今となっては不思議に思ってしまいます。

「ゆるキャラ」という言葉を生み出したのもみうらじゅんさんです。今や企業や自治体のPRに欠かせない存在となっているマスコットキャラクター。みうらさんが想定していたゆるキャラは、主に地方自治体が(おそらく)それほどお金をかけずに制作し、愛情にはあふれているもののどこか不完全な雰囲気を醸し出すご当地キャラクターでした。

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