日本にも存在「破局噴火」で壊滅リスクある火山6つ 住民の大量死や深刻な寒冷化を引き起こす

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リスボンを直撃した地震は、M8.4という歴史上最も破壊的なものの1つだった。市内の9割の建物が倒壊し大火と大津波が発生して、当時約27万5000人のリスボンの人口のうち、3分の1人の約9万人の市民が犠牲になった。さらに、隣国スペインをはじめ北アフリカ、大西洋を越えてカリブ海やブラジルにまで津波が広がり、国外でも数万人が死亡したとみられる。

大航海時代以来、ポルトガルはブラジルなどの植民地からの収奪や奴隷貿易で蓄えた富で、華麗で裕福な海洋国家を築き上げた。だが、大地震によってGDPの43~57%が失われたとみられ、国土が荒廃し経済が崩壊して貴重な文化的遺産も失って国際的な地位も急落した。

「リスボン地震によってポルトガルの衰退がはじまった」といわれるゆえんである。

地球はリスクに満ちた惑星

地震後、復興をめぐって激しい権力争いが起きて政治は混乱し、国王ジョゼ1世の暗殺未遂事件まで起きた。国内の対立が収まると専制政治がはじまり国民はさらに苦境に立たされた。

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日本では国内の被害のことしか考えていないが、リスボン地震の教訓から近隣国にも津波などの大きな被害がおよぶことも考えられる。逆に朝鮮半島で白頭山の大噴火が起きれば、日本にも被害がおよぶかもしれない。

地震・火山のようないつ発生するかわからない大災害の場合、「備えよ」といわれても個人ができることは限られている。

「連絡手段」「必需品の備蓄」「避難場所」「住宅の耐震・耐火化」といった自治体の広報の域を出ない。災害の起きにくい土地に転居することが最も効果的であっても、できる人はごく限られているだろう。

やはり、「地球」というリスクに満ちた惑星に住む自覚と覚悟を固めるしかないのかもしれない。

(文中敬称略)

石 弘之 ジャーナリスト

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いし ひろゆき / Hiroyuki Ishi

1940年東京都生まれ。東京大学卒業後、朝日新聞入社。ニューヨーク特派員、編集委員などを経て退社。国連環境計画上級顧問、東京大学大学院教授、ザンビア特命全権大使、北海道大学大学院教授などを歴任。この間、国際協力事業団参与、東中欧環境センター理事などを兼務。国連ボーマ賞、国連グローバル500賞、毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。主な著書に『感染症の世界史』『鉄条網の世界史(共著)』(角川ソフィア文庫)、『環境再興史』『砂戦争 知られざる資源争奪戦』(角川新書)、『地球環境報告』(岩波新書)など多数。

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