日本にも存在「破局噴火」で壊滅リスクある火山6つ 住民の大量死や深刻な寒冷化を引き起こす

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最後に、私が恐れている心配の1つをつけ加えたい。

自然災害や感染症の歴史を調べていると、「悪いことは重なる」事例がいろいろ見つかる。「偶然の一致」「こじつけ」という反論がある一方、「踏んだり蹴けったり」「弱り目に祟たたり目」という昔から親しんだ諺(ことわざ)もある。

例えば、第1次世界大戦の最中に史上最悪のスペイン風邪(1818~19年)の大流行が起きた。日本でも、原敬首相の暗殺、第1次世界大戦の戦後不況、株価大暴落、大逆事件(明治天皇暗殺計画)などの社会不安が起き、時をほぼ同じくして関東大震災(1923年)が発生した。

天災と人災の奇妙な一致

「こじつけ」を承知でいえば、その後もバブル崩壊と阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)と平成大不況や政治的混乱……。天災と人災は奇妙な一致がある。

かつて「世界第2の経済大国」として国際社会で畏敬された日本は、今や「衰退途上国」とさえ呼ばれるほどの経済の低迷がつづいている。豊かさを示す指標となる「1人当たりGDP」(市場為かわせ替レートによるドル表示)では、2021年には世界の30 位にまで低落した。2000年にはルクセンブルクに次ぐ世界第2位で、第5位のアメリカよりも高かったのに。

かつては高い技術力を誇ったが、新型コロナウイルスの国産ワクチンは流行に間に合わず、累計1兆円の開発費を投じながら、国産ジェット旅客機はついに日の目をみなかった。30年前に日本の半導体ICの世界市場シェアは50%を支配していたのが、2020年には6%にまで落ち込んだ。2020年版「世界競争力ランキング」によると、世界主要63ヵ国・地域のなかで日本は34位で、過去5年間で最低順位に落ち込んだ。

国債発行額は過去最高に積み上がり最悪の財政状態にある日本が、もしも大災害に直撃されたら直接的な被害だけでなく「経済破局」を招かないだろうか。災害史を調べていて「もしも大災害に襲われれば、日本は1755年にポルトガルの首都を襲った『リスボン地震』と同じ道を歩むのではないか」とする不安にとらわれた。

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