懐かしの「伝説深夜ドラマ」現在の隆盛に至る系譜 深夜ドラマは量、質ともプライム帯に匹敵へ
深夜ドラマと小劇団という組み合わせでは、2002年から2004年までフジの月曜深夜に放送されていた「演技者。」とその後継番組「劇団演技者。」(2004〜2006年)も面白い試みだった。ジャニーズ所属タレントがメインキャストを務め、さまざまな劇団の演目を基本4話構成のドラマとして放送するという「舞台とテレビのコラボレーション」。
例えば城島茂と山口達也×劇団M.O.Pの「黒いハンカチーフ」、三宅健と岡田准一×阿佐ヶ谷スパイダースの「TEXAS」といったラインナップで、ある種のアングラ感を持つ舞台の脚本をジャニーズのタレントが演じることで、独特の面白さが生まれていた。
ちなみにこの枠で総合演出を担当していた大根仁が後にテレ東の深夜枠で手がけた「週刊真木よう子」(2008年)は、1話ごとに演出家と脚本家と出演者が異なり、共通するのはヒロインの真木よう子だけという30分のオムニバスドラマで、脚本に三浦大輔、長塚圭史、赤堀雅秋といった「演技者。」シリーズにも参加していた面々が名を連ねていた。また演出には山下敦弘、豊島圭介、タナダユキといった映画監督が参加。最近では映画監督がドラマの演出をすることは珍しくないが、当時は新鮮だった記憶がある。
主演が同じでそれ以外は異なるオムニバスドラマというパターンは、後にTBSの「ドラマNEO」枠で放送された「イロドリヒムラ」(2012年)にも引き継がれている。このように、脚本×演出×出演の組み合わせの妙を楽しめる作品が多いのも、深夜ドラマならではの魅力だろう。
2000年以降を牽引した テレ朝・テレ東・MBS
初期の深夜ドラマを牽引したのがフジテレビだとすれば、2000年以降にその役を果たしたのはテレビ朝日とテレビ東京、そして毎日放送(MBS)だといえるだろう。
2000年4月にテレビ朝日が金曜、土曜の23時台に「ナイトドラマ」枠を新設。その金曜ナイトドラマの2作目として放送されたのが「トリック」(2000年)だ。シリーズ化の後、スペシャルドラマや映画版、スピンオフドラマまで制作される大ヒットを記録。小ネタ満載の堤幸彦演出は、深夜ドラマの一つの定型となっていった。
この枠は「特命係長 只野仁」(2003年)、「時効警察」(2006年)、「家政夫のミタゾノ」(2016年)など人気シリーズを数多く生み、深夜ドラマを代表する枠として現在まで安定して継続している。
ちなみに、2000年から2002年にかけてNHKも「ドラマDモード」という23時台のドラマ枠を設けていた。鈴木あみ主演、大友啓史演出で、世界遺産登録前の軍艦島でのロケも話題になった「深く潜れ〜八犬伝2001」(2000年)や、さそうあきら原作、大森寿美男脚本の「トトの世界〜最後の野生児」(2001年)。森田剛とパリコレモデルの未希が、普通の男女とは逆の身長差カップルを演じた「君を見上げて」(2002年)など、世界に向かう軸足を少しずらしたような不思議なムードの作品が作られていた。
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