懐かしの「伝説深夜ドラマ」現在の隆盛に至る系譜 深夜ドラマは量、質ともプライム帯に匹敵へ

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同じく1992年から1993年にかけて放送された「La cuisine(ラ・キュイジーヌ)」は、毎回異なる料理をテーマにしたオムニバスドラマシリーズ。岩井俊二が数本、監督・脚本を担当しているが、そのなかでも最終回特別編として放送された「FRIED DRAGON FISH」(1993年)は、後に映画『PiCNic』と併映で劇場公開されたほど完成度の高い名作だ。

不思議な色気を漂わせるブレイク前の浅野忠信と、アイドルから女優にシフトチェンジしたころの芳本美代子の組み合わせが新鮮で、岩井らしい映像美とも相まって、深夜、偶然テレビで見たときのインパクトは忘れられない。このころの深夜ドラマは、「今までのドラマでは見たことがない!」という新しさに満ちていた。

脚本×演出×出演、組み合わせの妙を楽しむ

フジの後を追うように、1995年には日本テレビが火曜25時〜25時30分に「しんドラ」枠を新設。翌1996年には「shin-D」(〜2001年)と名前を改め、基本的に1カ月に1作(全4回)のペースでバラエティ豊かなドラマを放送していた。

また、TBSで1999年4月〜9月の月曜深夜に放送された「コワイ童話」シリーズは、「シンデレラ」や「人魚姫」といった有名な童話を現代風にアレンジした4話完結のオムニバスドラマ。その中の1作「親ゆび姫」は、宮藤官九郎のテレビドラマ初脚本作で、演出・金子文紀、制作・磯山晶という、後に数々のヒットドラマを生む座組みの初タッグだった。

スタッフとキャストの多様な組み合わせという意味では、1996年から1997年にかけて放送された「3番テーブルの客」(フジ)が出色だ。三谷幸喜が書き下ろした1本の脚本を、毎回異なるスタッフとキャストでドラマ化。河野圭太、若松節朗、石坂(宮本)理江子、中江功、星護、鈴木雅之といった当時フジテレビで活躍していたディレクターたちに加え、井筒和幸、伊丹十三、松岡錠司、蜷川幸雄といった錚々たる監督たちが、それぞれの演出で同じ脚本を映像化した。

「台本が同じなら同じ作品が出来上がると思うならあなたはドラマを知らない」というナレーション通り、演出の力というのはこういうことかと驚くばかりだった。役者陣に生瀬勝久、阿南健治、高橋克実、小日向文世といった、今やテレビドラマに欠かせない顔だが、当時はまだ知る人ぞ知る小劇団出身(所属)の面々が並んでいたのも新鮮だった。

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