防衛増税も迷走「岸田政権」に今、決定的に足りぬ事 旧態依然の手法、さらなる失速は避けられない
岸田文雄政権の迷走が続いている。2023年度から5年間の防衛費を、それまでの27兆円から43兆円に大幅増額させることを明言したものの、法人税増税など財源の具体案は自民党内の反発から先送りした。
先制攻撃(敵基地攻撃)能力の保有を認めるなど防衛政策の大転換だと大見得を切ったが、政策の進め方は有識者会議の開催や自民党内の内輪の議論など旧態依然の手法で、岸田首相の説明不足は否めない。民意と向き合い、じっくりと対話を重ねることができない。岸田首相のそんな資質があらわになった。年明けの通常国会で野党の攻勢が強まるのは必至。岸田政権のさらなる失速は避けられそうにない。
「反撃能力」の明確な説明をしていない
「大転換」の中身を見てみよう。政府は12月16日、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の安保関連3文書を閣議決定した。その中ではまず、軍備拡張を進める中国について「最大の戦略的挑戦」と位置づけ、北朝鮮は「差し迫った脅威」としている。これに対して日本は外交努力を進め、日米同盟を強化し、同志国との連携も進めるという。こうした情勢認識については、大方の理解を得られるだろう。
その認識に基づく防衛力整備について、今回初めて、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を盛り込んだ。このあたりから岸田首相の説明があいまいになる。敵がミサイルを発射する際、発射に「着手」した時点で日本からの反撃が可能だというのが「反撃能力」だが、一歩間違うと、国際法違反の「先制攻撃」になる危険性がある。
これは日本が堅持している「専守防衛」の原則にも反する。そうした問題点について、岸田首相は明確な説明をしていない。中国や北朝鮮に対抗してアメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」などを配備するが、その運用についても首相自身がわかりやすい説明がなされていない。
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