恐怖の「親塾」中学受験に苦しんだ娘の驚く30年後 「もう母親に連絡を取ることはありません」

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この母親の発言は佳乃さんにとって不思議でしかなかった。学校でいじめを受けたことはなく、友達ともそれなりにやっていた。学校の成績はいたって普通で、むしろ宿題の計算ドリルをやるのも苦痛。宿題を忘れて注意されることも多い。そんな自分がなぜ中学受験をするの?と、全く理解できなかった。ただ、遠藤家で母親に逆らうことは御法度だった。

母親は自分の気に入らないことがあるとヒステリックになるタイプ。何がトリガーとなるのかは家族も全くわからない。ただ、機嫌を損ねると大変なことになるという恐怖が佳乃さんには埋め込まれていた。

ヒステリックな母親の顔色をうかがう

手を出されることはもちろん、低学年の頃には3カ月間、家で無視され続けるといった仕打ちをうけたこともある。そして、佳乃さんの体格を気遣ってか、食べるものについてはかなり厳しい“しつけ”を受けていた。兄がおやつを食べていたので、自分もおやつを食べようと、個包装の飴を1つ口にしたところ、その行動が母親の逆鱗に触れた。

「そんなに飴が食べたいなら、全部たべてしまいなさい!」

そう吐き捨てるなり個包装の飴をそのまま口いっぱいに詰めこまれた。日々のこうした厳しいしつけから、佳乃さんはいつも母親の顔色をうかがう子どもになっていく。

「叱る声がひどかったのか、近所の人が通報したんだと思います。一度は自宅に役所の人が来たことがありました。おそらく、児童相談所の人だったのだと思います。でも、母が隣にいるところで『何か困っていることはない?』と聞かれても、本人を目の前にして言えるわありませんよ。なんで自分だけ? なんで、兄と同じようにかわいがってくれないの? そういう気持ちでした」(佳乃さん)

佳乃さんの体格を親戚もいじるようになる。

「佳乃はホントにブスだね~」

「デブちゃん」

親戚は佳乃さんをかわいらしく思いそう呼んでいた可能性もあるが、本人はとても嫌だった。しかし、佳乃さんは嫌な顔をすることもできずに、ただ笑って受け流していたと語る。

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