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日本に欠けている「子を虐待した親」支援の仕組み 「子育てをやり直したい」という親も少なくない

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  • 宮口 智恵 認定特定非営利活動法人チャイルド・リソース・センター(CRC)代表理事
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そのような時、目にしたのがカナダにおける児童虐待の再発防止支援の取り組みです。子どもに関する国家的指針(National Children’s Agenda)を基に「子どもを支える家族の成長発達を支援する」という目的のため、行政と民間団体や地域が連携し、家族の成長発達を支援するシステムが構築されていました。

民間の、NPO団体が「スタッフと親子との関係性をベースに、親子に直接働きかける支援」を、児童保護機関(日本でいう児童相談所)とは異なる中立的立場で行っていたのです。

親にも「一緒に子どもといる体験」が必要

児相と異なる民間の立場で、「親子の関係性」にフォーカスした特別な支援。これこそが、まさに私が求めていた支援でした。

『虐待したことを否定する親たち 孤立する親と子を再びつなげる』(PHP新書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

親と分離され里親の元にいる子どもと親が、週に2回プログラムの場所にそれぞれ訪れ、一緒に親子交流の時間を持ちます。交流時間には遊びだけでなく、昼食も含まれていました。1組ごとの親子に担当のスタッフがついて伴走します。午前は親子交流の時間、午後は親だけの教育プログラムの時間で、その支援プログラムは九カ月にも及ぶものでした。

養育モデルがない親には育児スキルや知識を伝授することも必要です。しかし、それ以前にまずは人とつながり、「一緒に子どもといる」体験が必要です。親は伴走する支援者と共に子どもと関わることが望ましいといえるでしょう。「私の出会ってきた親子に必要なのはこれだ!」と強く感じました。

この支援プログラムのポイントは以下の3つです。

・児相と異なるNPOの立場で支援
 ・知識やスキルの伝授ではなく、親子に直接働きかける支援
 ・親と支援者の関係性をベースにしている支援

カナダで行われているこれらの支援を、日本で、私が活動の場にしている大阪で、可能な方法で実施していきたい。この思いから、NPOの立場で「CRC親子プログラムふぁり」を開発するに至りました。

時期を同じくして、児童福祉法改正により同法に保護者支援が明記されました。保護者支援について行政からニーズがあることが示され、試行的な実施を経て、児童相談所との協働での親子関係再構築支援が可能になったのです。虐待で子どもが保護された後の親子の支援について、ぜひ、多くの方に知っていただきたいと思います。

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