6代目ステップワゴン、待望の快作なのに惜しい訳 デザイン良好、室内空間快適、走りも見事なのに

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先に記した通り、プラットフォームは先代からの継承だが、それだけに良い所も要改善の箇所も、よく把握できていたというのが、この質高い走りを実現できた要因だという。新しければすべて良いというわけではないのである。

そんな風に室内空間の快適さに配慮が行き届き、走りっぷりも見事な新型ステップワゴン。惜しいのはグレードと装備の関係性だ。個人的には、AIRのたたずまいに惹かれるが、装備を見るとステアリングはウレタン巻きだし、エアコンはSPADAの3ゾーンに対して左右調整式。シートヒーターもパワーバックドアも、全列USB端子もブラインドスポットインフォメーションも備わらない。しかもAIRにはオプション設定すら無いのだ。

新しい機能やおもてなし、選ぶ楽しみが手薄

AIRのデザインでSPADAの中身なら……そんな声もちらほら聞こえてくる。AIRにもプレミアムラインを作ればいいと思うのだが、せめてセットオプションくらい用意してもいいだろう。先代が不振だったので、バリエーションを広げたくないという営業的理由は分かるが、これでは興味を持った人も離れかねないのではと心配になる。

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また、ノア/ヴォクシーが新型で採用してきたリモートパーキングだったり、ハンズオフまで可能なACCのようなものも用意は無い。価格も、同じ装備レベルで見れば決して高くはないが、グレードを絞って廉価版を設定していないだけに、なんとなく高く見えてしまっている。

総じて見るに、クルマとしての基本性能、ミニバンとしての基本性能を大幅に引き上げてきた一方で、ユーザーにとっては実は同じかそれ以上に重要な、新しい機能やおもてなし、更には選ぶ楽しみといった要素が、ステップワゴンは手薄なのだ。クルマ自体の実力というよりは、その辺りの拙さこそがライバルの後塵を拝してしまう一番の要因ではないかと思う。迅速なリカバーを期待したい。

島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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