6代目ステップワゴン、待望の快作なのに惜しい訳 デザイン良好、室内空間快適、走りも見事なのに

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2列目キャプテンシート仕様にはロングスライド機構が備わるが、今回新たに左右スライドも追加された。そう、ノア/ヴォクシーがヤメた機構を、こちらは新たに追加してきたのである。操作が煩雑にならないようにという配慮だろう。左右も前後もひとつのレバーで操作できるようになっているが、これ自体が若干使いにくい感はなきにしもあらず。どちらがユーザーに響くかは興味深い。

尚、SPADAでは2列目にオットマンが標準装備とされる。また、2列目ベンチシートの8人乗りはプレミアムライン以外の設定となる。

全長の余裕を活かして3列目の居住性にも力が入れられている。左右分割してフロア下に収納できるのは従来通りだが、クッションは厚みが足され、背もたれは肉厚にされるとともに高さも増やされた。

それだけではない。今回は1列目から2列目、2列目から3列目のシートの高さの差をより拡大して、全席優れた視界を確保している。これが水平にされたベルトラインと相まって乗り物酔いの防止にも繋がっているのだそうだ。視界が悪いと姿勢が乱れ、頭部をしっかり支えられなくなるというわけである。

車体剛性は高く、走りっぷりも見事

車体の基本骨格は先代からの継続使用となるが、サイドシル断面の大型化、開口部周辺への構造用接着剤の塗布などによりボディ剛性を強化し、サスペンションのストロークを伸ばすなど、かなり広範囲に手が加えられている。その恩恵は明らかで、車体の剛性感はとても高い。大入力にもハコが歪む感じがまったくしない終始カチッとした印象で、良いモノ感に満ちている。サスペンションはソフトな設定だが、シャシーがしっかりしているおかげでフラフラしたりせず、気持ち良く走ることが可能だ。

しかも今回、例えばリアシートを収納するフロア下の遮音、吸音を徹底するなど、静粛性にも相当配慮されている。2列目、3列目はフロアのブルブルも無く、静かでとても快適。洗練度は図抜けている。

パワートレインは1.5Lターボエンジンと、2モーターハイブリッドのe:HEV。4WDは前者のみの設定である。前者は、エンジンは内部まで手が入れられて発生する音量を5dBも下げたということもあり軽快によく走る。無論、より力強くスムーズなのは後者。車体の良さと引き立てあって、このセグメントでは図抜けた乗り味を実現している。但し敢えて言うならば、ライバルと比較すると燃費はもう少し頑張る余地がありそうだ。

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