「いつかはクラウン」ともてはやされたのも今は昔
振り返ればクラウンは、この何十年ずっと悩みの中に居たのかもしれない。「いつかはクラウン」ともてはやされたのも今は昔。セルシオが発売された1989年以降、トヨタの最上級車という立ち位置はあやふやになり、試行錯誤を続けるものの殻を破ることができないまま、ここに至った。
そんなクラウンが16代目となる新型で大変革を遂げた。新たに登場したのはクラウン・クロスオーバー。今後、全4車型で展開されることが明らかにされており、実はセダンも後に登場予定だが、まず世に問われたのはリフトアップされ大径ホイールを履き、バイトーンのボディカラーをまとった、今まで誰も想像したことのないクラウンだったのである。
大胆な変化のきっかけは、ルーティンの内外装の手直し案が社長に退けられたことだったというが、実はクロスオーバーのアイディアは、次世代のセダンのかたちとして検討の俎上に上がっていたという。SUVの乗り降りのしやすさやラフに使える良さを採り入れたセダンならば、新しいユーザーにもアピールできる。若手中心のデザイナー達の間で描かれていた案が、新しいクラウンとして世に出たのだ。
そのデザインは、これが仮にクラウンじゃなかったとしても刺激的なものだ。クーペライクな低いフォルムはボリュームある力強い立体で構成されていて、サイズ以上の存在感がある。このカタチを具現化するのは簡単ではなかったというが、そこはさすがにクラウン。設計や開発、生産部門まで一丸となって突き進んだそうである。
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