16代目クラウンの大変身「あるべき姿」に戻った訳 第1弾クロスオーバーに乗ってわかった挑戦と革新

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乗り心地も非常に良い。とは言ってもフワフワしているわけではなく、しっかりとしたボディを土台にサスペンションが正確に仕事をしている感覚で、動きの質は高い。これを225サイズの21インチという細身・大径のタイヤで実現しているのだからなかなかのものだ。余計な雑味の無い高い静粛性も相まって、寛げる室内空間となっている。

それはリアシートも同様で、リフトアップの分、目線が高くなって視界が良く感じられるし、クッションは肉厚だしポジションも適切。静粛性も高く、背は高いのに目線の上下左右へのブレが少ないので、心地よく過ごすことができるのだ。

挑戦し、革新してきた

エンジン音とパワー感がリンクした一体感のある加速が味わえる新しいハイブリッドシステムも上々の感触。アクセル踏み始めのレスポンスの良さはまさに電気モーターの恩恵で、これまた小気味良い。更に、アクセルを強く踏み込むとエンジンと前後の電気モーターがフルに働いて、力強く速度が高まっていく。動力性能だけの話ではなく、打てば響くレスポンスという意味でもスポーティで良い。

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THSⅡ+E-Fourのモデルも基本的な走りの上質感は変わらない。全体にもう少し穏やかになるが、これはこれでアリ。特に19インチタイヤ仕様は、従来のクラウンのユーザーも満足に違いない。

新しいクラウンは見た目、大胆に変わった。しかしその哲学は、案外昔とそう違わないのかもしれないなとも思う。対米輸出を敢行したり、新しい技術を真っ先に採り入れたり、昔のクラウンは間違いなく挑戦し、革新してきたクルマだ。確かに内装も豪華だったりしただろうが、何よりもその精神こそがブランド力を押し上げ、プレミアムな存在にした。そう言っていい。

その精神に立ち返り、そして新しい表現で描き出したプレミアムカーが新型クラウンである。そう思ったら、すべてが腑に落ちた。時間はかかったが、クラウンはあるべき場所に戻ってきたのである。

島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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