村上:2000年に、クラゲ12種類の展示を成功させて、日本一になりました。そこで垂れ幕まで作って宣伝したのに、お客さんが3カ月間連続で減り続けてしまったのです。その頃に、南米で底引き網漁の船長をしていた元漁師さんが、「クラゲに熱湯かけて酢醤油で食べたらうまかった」と教えてくれて、「これだ!」とひらめきました。
遠藤:おカネのかからない「話題づくり」で、知名度を上げようとしたんですね。
村上:まず「クラゲを食べる会」を企画し、マスコミに招待状を送りました。「お腹は壊させませんから、安心して食べに来てください」とわざわざ書き添えて。
遠藤:確かに、そう誘われると、妙に行きたくなりますね。
村上:当日は、「クラゲのしゃぶしゃぶ」に「クラゲの握り寿司」、ジュースに入れて「ナタデココ風クラゲココ」など、10種類ほど提供したら、食事会のニュースとともに、「クラゲ展示数日本一の加茂水族館」と報道されて、客足が増えだしたのです。
「クラゲラーメン」でレストラン売り上げ4倍増
遠藤:「クラゲを食べる会」の5年後に、「クラゲアイス」や「クラゲ入りまんじゅう」「クラゲ入り羊かん」などの関連商品の販売が始まったのですよね。
村上:はい、業者に相談したら最初は笑われましたが、発売したら爆発的に売れました。その翌年、館内に「クラゲレストラン」を開業し、クラゲ定食とクラゲラーメンを始めたら、レストランの売り上げは4倍以上に急成長しました。
今思うと、展示数で日本一になって客足が減少した経験が、大きな転機でした。自分たちがどんなにすばらしいことをやっていても、それが人に知られなければ存在しないのと同じで、意味がない。普通にやっていてはダメなんだ、と痛感させられましたから。
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