「強くなっても儲からない」日本スポーツ界の難題 スポーツ小説の名手が語る、世界大会の注目点

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究極の理想はチームや選手が日本でお金を稼げることだ。われわれファンが払っているお金も海外のファンが払うお金も全部日本に流れるようなシステムが必要だ。

日本の治安は抜群によく、選手たちは安全に過ごせる。食事もおいしく、海外選手に人気がある。選手は来たいのだけれど、よい選手を採るほどのお金が球団にない。

──何が問題点なのでしょうか。

島国の小国という意識がやっぱり根強くある。スポーツ後進国という感覚が強い。体は小さいし、力勝負じゃかなわないという意識が払拭できない。もっと厄介なのは日本独特のアマチュア精神だろう。スポーツ=アマチュア精神なんだよね。

例えば高校野球の大阪桐蔭と仙台育英が練習試合をやって、入場料を取ったら大問題になると思うけど、本当は悪くないと思う。甲子園の夏の大会の前にこれをやったら、わくわくするけどなあ……。

第2試合は東西の大学の強豪対決、第3試合は因縁のオリックス対ソフトバンク戦とか。一日中、朝から晩まで野球のベストマッチをやって、その収入はスポーツの世界に還元してあげればいい。

強くならなければダメ

アマチュア精神というのはフェアプレーへのこだわりにもつながっている。ラフプレーやルール違反を肯定するわけじゃないが、命懸けで戦ってる人たちは、ギリギリのグレーゾーンで勝負している。勝つためにはそこにいなければいけない。

はっきりしているのは、強くならなければダメだということ。サッカーもワールドカップで日本が1回でも優勝したらどれだけ景色が変わるか。

ラグビーも野球も同じ。WBCで日本が力勝負で圧倒的な強さでアメリカを破ることが続いたら、MLBは自分たちの優勝決定戦をワールドシリーズと名乗れなくなると思う。野球でいえば、実際にそういうレベルに近づいているような気がする。

堀川 美行 東洋経済 記者

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ほりかわ よしゆき / Yoshiyuki Horikawa

『週刊東洋経済』副編集長

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