「ゼロベース思考」とは、経験から積み上げた前提や思い込みをいったんゼロにした状態から物事を考えることです。組織は歴史とともに、例外ケースを包み込み、肥大化していきます。期や年度など一定のサイクルで過去の資産をゼロにし、システムを一新させる意識と機能を持ちましょう。
ここでのポイントは「お客様に提供する価値」に集中し、システムを極限までシンプルに絞り込むことと、どんな難問もクリエイティブに解決できるという確信を持って取り組むことです。
たとえば、意味を感じない会議、自然に増えるメールのCCや稟議プロセス、活用されない業務日報や報告書、現場に過度な負担を強いる確認作業など。心の余裕をつくるために、ばっさりと切り捨ててしまいましょう。必要ならば、また復活させればよいのですから。
そして、問題が発生したときには「ダブルループ学習」が効果的です。複雑な問題に対して、その根本には何があるのかを考え、改善することです。既存の目的や前提を疑い、そこから軌道修正を行います。
それに対して「シングルループ学習」は、過去の学習や成功体験をもとに問題解決を図ること。本質的な原因を改善できないだけでなく、仕事を増やす場合が多いのです。問題が起きたら、時間がかかっても根治療法を行い、シンプルさを保つことが大切です。
統制やルールがなくてもチームは回る
複雑なルールや命令を大胆に減らすには、統制する代わりに、社内を透明にする「透明のチカラ」を導入するのが効果的です。
たとえば、企業は経費を削減するために何重にも管理者を配置し、稟議システムで「統制」してきました。では、経費をすべて「透明」にしたらどうなるでしょう。誰が何にいくら使用したか、誰でも閲覧できるようになれば、むだな経費は激減するでしょう。説明する責任が生じて、共感や評価を得られない経費が姿を消すためです。
リーダーは、チームやメンバーを管理する責務を果たすため、そしてときには自分の立場を守るために、自ら「管理する」という仕事を生み出してしまいます。細かい目標や行動を決め、メンバーにも細かく報告させるなどです。しかしそれによって、管理される側の仕事はどんどん増えていきます。顧客やメンバーのためではなく、管理する側が「やっている感」を出すための仕事になっているのです。
その管理者が辞めるなどして、報告業務がなくなっても、業務に支障はなく、むしろスムーズに回り始めたという話もあります。そうなってみてはじめて、本人は自分がやっていた仕事が「むだだった」と気づくのです。
ルールだから。指示だから。昔からそうやっているから。そういった当たり前になっている「むだな仕事」が、仕事には意外と潜んでいます。その「むだ」に気づくには、「価値を生み出しているかどうか」の視点が必要です。つまり、「ミッション」や「ビジョン」につながるのか、です。
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