むだばかりで疲弊した組織に「モチベを高める技」 大組織ほど無意味で不合理な規律や作業が多い

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その結果、組織内で自己実現できなくなり、欲求不満や葛藤が募っていきます。組織の「歯車」になったと感じてしまうのです。組織の原則が、成長していた人間を未成熟な状態にもどしてしまう。これが「組織の罠」と呼ばれるものです。

どうすれば、この悪循環を断つことができるのでしょうか。ポイントは「管理する組織」から「学習する組織」への移行です。「決めたことに従って管理する」という視点から、「環境変化にあわせて学習する」という視点に、組織運営の根幹となる考え方をシフトするのです。

自律的に動くためには「目標・計画・役割」が必要ですが、それを絶対守らなくてはいけないものと位置づけると、組織は硬直化、複雑化し、メンバーの自律性はなくなってしまいます。目標・計画・役割を「管理するためのツール」と考えず、「最善の今を考えるためのツール」としてとらえること。環境変化にあわせて、自分たちでつねに最適化していくことが大切なのです。

「自律性」を取り戻す4つの問い

普通、仕事には会社から与えられた目標があります。そして、目標達成のための計画を考え、遂行していきます。

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計画は行動の指針となる、大切なものです。でも、必ずしも計画どおりにいくとはかぎりません。むしろ、うまくいかないことのほうが多いでしょう。そしてやがて、理想とのギャップが自分たちを苦しめはじめます。計画どおりにやることが目的となり、自分やメンバーに無理をさせてしまうのです。

もはや達成不可能になった計画を追いかけていても、メンバーの士気は下がってしまいます。現実を見つめ、計画とズレがあるのなら、あらためて計画を練り直しましょう。

「計画」は使うものであり、使われるものではありません。目標を見据え、現状をふまえて、自分たちで主体的に考えるからこそ、「達成しよう」「頑張ろう」と思えてくるのです。計画の認識を「会社から与えられたもの」から、「自分たちで選んだもの」に変えていきましょう。

Question1:実現したいビジョンはなんですか?
Question2:計画どおりなら、今はどうなっていたはずですか?
Question3:実際の今の状況はどのようですか?
Question4:現状をふまえると、計画はどのように変更したほうがよさそうですか?
「計画と現実」マッピング

「自律性」のほかにも大切にしていきたいのは、メンバーが「有能感」を感じられることと、チーム内によい「関係性」があることです。あなたが起点となってチームに「自律性」「有能感」「関係性」を醸成していければ、きっと、メンバーみんなでモチベーション高く、自分たちのミッション、ビジョンに向かって邁進していけることでしょう。

斉藤 徹 起業家、経営学者、研究者 ビジネス・ブレークスルー大学教授

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さいとう とおる / Saito Toru

日本IBMを経て、2005年にループス・コミュニケーションズを創業。ソーシャルシフト提唱者として、知識社会における組織改革を企業に提言する。2016年に学習院大学経済学部経営学科の特別客員教授に就任。2020年からはビジネス・ブレークスルー大学教授として教鞭を執る。2018年には社会人向けオンラインスクール「hintゼミ」を開講。卒業生は1000名を超え、大手企業社員から経営者、個人にいたるまで多様な受講者が在籍。企業向けの講演実績は数百社におよぶ。組織論、起業論に関する著書も多い。
株式会社hint代表。株式会社ループス・コミュニケーションズ代表。

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