平社員がトップに直メール!すごい金融機関 住宅金融支援機構に学ぶ「現場力」の高め方

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遠藤:職員からメールが直接届くようになったのは、どういう経緯からですか?

宍戸:もともとは私が「今、何を考えているのか」という経営上の問題意識などの情報を、毎月1回、動画付きメールで発信するようにしました。職員は、動画でも見られるし、文字起こししたテキストでも読むことができます。

遠藤:それが呼び水となり、職員からの直メールも届き始めたのですね。

宍戸:ええ。私が理事長に就任して1年後頃、名前も知らない一般職員から、メールが届き始めたのです。内容もストレートで、「理事長は現場力をつけろと言いますが、組織としての戦略が出てないじゃないですか?」とか。

遠藤:トップの理事長宛てにしては、かなり率直なメールですね。

人間、昇進がかかると、物が言いにくい

宍戸 信哉(ししど しんや)
住宅金融支援機構理事長。1948 年宮城県塩竃市生まれ。1971 年に東北学院大学法学部卒業、住宅金融公庫入庫。1998 年情報システム部長、2000年企画部長、2001 年大阪支店長を経て、2003 年住宅金融公庫理事。2007 年株式会社住宅債権管理回収機構代表取締役社長。2011 年4月住宅金融支援機構の前身である住宅金融公庫設立以来初めての住宅金融公庫出身の理事長として就任。

宍戸:私も時には、反論したくなるわけですが、そこはグッとこらえて、「戦略は◯◯◯を考えています」と冷静に返信するわけです。

遠藤:そういう「風通しのいい仕組みと空気」を組織に作ろうとしているわけですね。「風通しのよさ」は強い組織の共通点だと思います。

宍戸:別の契約職員さんからは、「もう辞めようと思っていましたが、(理事長のメールを読んで)辞めるのを止めます」というメールが届いたりしました。とてもうれしかったですよ。

遠藤:直メールはどういう人たちから送られてくるのですか?

宍戸:管理職よりも役職のない一般職員のほうが多いですね。直属の上司よりも、むしろ理事長の私にモノが言いやすいみたいなのです。管理職のメールが少ないのは、昇進が目前に迫っている人だと、下手なことをいって、私の評価や人事に影響するのを懸念するのかもしれませんね(笑)

遠藤:なるほど。いずれにせよ、現場の平社員がトップに直メールできる組織というのは、普通の企業では、まずありえません。それが独立行政法人でも実践できているという点が、すばらしいと思います。

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