遠藤:職員からメールが直接届くようになったのは、どういう経緯からですか?
宍戸:もともとは私が「今、何を考えているのか」という経営上の問題意識などの情報を、毎月1回、動画付きメールで発信するようにしました。職員は、動画でも見られるし、文字起こししたテキストでも読むことができます。
遠藤:それが呼び水となり、職員からの直メールも届き始めたのですね。
宍戸:ええ。私が理事長に就任して1年後頃、名前も知らない一般職員から、メールが届き始めたのです。内容もストレートで、「理事長は現場力をつけろと言いますが、組織としての戦略が出てないじゃないですか?」とか。
遠藤:トップの理事長宛てにしては、かなり率直なメールですね。
人間、昇進がかかると、物が言いにくい
宍戸:私も時には、反論したくなるわけですが、そこはグッとこらえて、「戦略は◯◯◯を考えています」と冷静に返信するわけです。
遠藤:そういう「風通しのいい仕組みと空気」を組織に作ろうとしているわけですね。「風通しのよさ」は強い組織の共通点だと思います。
宍戸:別の契約職員さんからは、「もう辞めようと思っていましたが、(理事長のメールを読んで)辞めるのを止めます」というメールが届いたりしました。とてもうれしかったですよ。
遠藤:直メールはどういう人たちから送られてくるのですか?
宍戸:管理職よりも役職のない一般職員のほうが多いですね。直属の上司よりも、むしろ理事長の私にモノが言いやすいみたいなのです。管理職のメールが少ないのは、昇進が目前に迫っている人だと、下手なことをいって、私の評価や人事に影響するのを懸念するのかもしれませんね(笑)
遠藤:なるほど。いずれにせよ、現場の平社員がトップに直メールできる組織というのは、普通の企業では、まずありえません。それが独立行政法人でも実践できているという点が、すばらしいと思います。
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