日本人が幸せを感じるための「4つのヒント」 「幸福度実感」世界43位にはワケがある

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このように、幸せは些細なことによって実感することができるものなのです。

幸せの4つの因子

従来、幸せの研究は哲学者が行うものだと思われてきました。ところが最近では、客観的かつ統計的な立場から、幸福を科学として研究しようという気運が生まれてきています。これらの研究によって得られた結果を上手に活用すれば、私たちはより幸せな生き方を選ぶことが可能になるはずです。

私自身も、幸福についての様々な研究を継続的に行ってきました。それらの研究の結果として、人間の幸せには「4つの因子」があることを明らかにしています。詳しくは拙著『幸せのメカニズム』(講談社現代新書)にまとめられていますが、ここでも少し紹介してみましょう。

4つの因子のひとつ目は、「やってみよう」因子と名付けています。個人的成功や自己実現などの達成感が、人の幸福感を高めることが具体的な数値によって裏づけられました。

2つ目は、「ありがとう」因子と呼んでいます。これは、他人とのつながりや感謝を意味します。人を喜ばせたり、愛情を感じたりすることや、感謝や親切に触れることで人間は幸せを感じることができるのです。

3つ目は、「なんとかなる因子」。常に楽観的でいることを心がけ、自己否定ではなく自己受容を行うことで幸せを実感できるようになります。

例えば、何かに失敗しても気持ちの切り替えが早くでき、すぐに前向きになれる人は、この因子をたくさん持っている人です。

4つ目は、「あなたらしく!」因子といいます。他人と過度に比べることなく、自分をはっきりと持つことで、マイペースな人生を歩めるようになります。それが、幸福度を高めるというわけです。

どれをとっても決して堅苦しいものではなく、理解しやすい事柄ではないでしょうか。こうしたことを常に意識してこまめに実践していくことで、たとえ厳しい社会環境に囲まれていたとしても、人は誰でも幸福を育んでいくことができるのです。

いきなり大きなことを実践する必要はありません。「あいさつをする」「小さなことを気にしない」といった小さなことからはじめることで、確実に気分が変わってくることでしょう。ぜひ試してみてください。

※次回記事は3月28日(土)に公開します

前野 隆司 慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授

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まえの たかし / Takashi Maeno

1984年東京工業大学工学部機械工学科卒業、1986年東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了、同年キヤノン株式会社入社、1993年博士(工学)学位取得(東京工業大学)、1995年慶應義塾大学理工学部専任講師、同助教授、同教授を経て、2008年より慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授。2011年4月よりSDM研究科委員長。この間、1990年-1992年カリフォルニア大学バークレー校Visiting Industrial Fellow、2001年ハーバード大学Visiting Professor。
 

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