「プラントベース食」肉と乳製品減らす人々の利点 環境・倫理面だけでなく栄養面にも目を向けると?

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とくに気をつけて補いたいのは微量栄養素だ。以下に重要なものを挙げておく。

【カルシウム】乳製品が主な摂取源で、植物性食品で含むものはごくわずか。ドライフルーツ、ナッツなどに含まれる。
【ヨウ素】不足すると胎児の脳の発達に悪影響を与える可能性がある。甲状腺ホルモンの濃度にも影響する。リスクが高い人はサプリメントの摂取を検討したい。
【オメガ3脂肪酸】α-リノレン酸(ALA)はクルミ、アマニ、菜種油などの植物性食品に含まれるが、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)は植物性食品からは効果的に摂取できない。
【ビタミンB12】これを含む植物性食品は体内で処理できない。サプリメントの摂取が有効。
その他に【ビタミンD】【鉄】【亜鉛】【セレン】など。

また、塩分や飽和脂肪酸を多く含むようなビーガン向け加工食品もたくさん市販されているので、植物性であれば必ず健康的というわけではないという点も注意が必要だ。

腸活にもプラスの効果

さまざまな種類の腸内細菌が存在しているほど、腸が健康的だという考え方は広く認められているところだ。腸内には数兆個の微生物が生息し、これらはまとめて「腸マイクロバイオーム」と呼ばれている。私たちが食べるものは、こうした細菌の組成に影響を与えている。

腸内細菌の“多様性”が健康状態の良さと関連があることは、研究でも明らかになっている。1万人以上の便サンプルを分析した研究では、週に30種類以上の植物性食品を食べる人は、10種類未満しか食べない人よりも腸内細菌の多様性が高いことがわかった。

バランスのとれたプラントベース食は、腸マイクロバイオームの多様性を高めるのに役立つ。野菜と果物はいろいろな種類を食べるようにし、いつもは使わない豆類、全粒穀物やナッツ類、シード類も取り入れたい。

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