私たち人間の営みが地球環境に与える負荷の大きさは、ますます問題になっている。サステナブルな食生活を送りたいと考える人も増えてきていて、そのための現実的なステップとして、プラントベース食がある。
農畜産業は、生物多様性に影響を与える温室効果ガスの大きな排出源だ。農畜産物の生産から製品製造、流通や配達、さらに廃棄物処理まで、サプライチェーンとその先のあらゆる段階で化石燃料が使われる。
また、地球上にある居住可能な土地の半分は農畜産業で使われていて、その77%は家畜の飼育向けだ。ところが、肉と乳製品は世界全体のエネルギー摂取量の17%、タンパク質摂取量の33%を占めるにとどまっている。こうした資源集約的なアプローチでの食料生産は、栄養摂取の面でもサステナビリティの面でも先行きが暗い。
こうした肉や乳製品の環境負荷を計算に入れると、プラントベース食が未来への方法であるのは議論の余地がない。
私たちはみな、食生活を変えることで問題解決に貢献する力を持っている。その変化は大きくても小さくてもいい。肉を食べる習慣があるなら、それを完全にやめる必要はない。赤身肉を食べる量を1週間に1ポーションに減らすといいだろう。
健康効果は科学のお墨付き
環境への影響を減らす、費用を抑えるなど多くの利点があるプラントベース食。栄養不足にさえ気をつければ、大きな健康効果も得られる。
プラントベース食が寿命を延ばし、一部の病気のリスクを低くするという主張には、多くの研究による裏付けがある。食物繊維が多く飽和脂肪酸の少ない、バランスのとれたプラントベース食は、健康的な体重を維持し、2型糖尿病や循環器系疾患、さらに一部のがんのリスクを低くするのに役立つ可能性がある。食事から動物性食品を取り除くと血圧が下がるという方向の証拠もたくさんある。
動物性食品をまったく食べないとしても、必要な栄養素の大部分は植物性食品から摂取できる。ただ方法によっては、タンパク質やビタミン、ミネラルといった栄養素が不足するおそれもある。こうしたリスクは、適切な食品を選び、必要があればサプリメントを摂取することで解消できる。たとえばタンパク質不足にならないためには、完全タンパク質を含む大豆製品やキヌアを食事に取り入れよう。ナッツ類を間食にするのもいい。
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