46歳未経験でラーメン店を開いた女性の挑戦 「できないことなんてない」を実現する"聞く力"

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2年ほどの準備期間中、いろいろなラーメン屋さんを回りましたが、まず入りにくいんですよ。「一人では行けへんな」と思ったし、お店に入っても落ち着かない。お店の人にちょっとしたことも聞けませんでした。

なんでやろ? と考えたら、お店には男の人ばかり。アルバイトさんに女性はいるけど、作っているのは男の人だけだったんです。

「ラーメン屋さんは男の人の職業なんかな」って思いましたけど、それなら女の人でも入れるお店をやろうって。

それまで私がやっていた飲食店では、居心地の良さとお客さんとのコミュニケーションを大切にしていました。そういうお店で、かつ女性が気軽に入れることを目指すのであれば、私がやる意味があるなと思ったんです。

『むらじ』店内の様子(写真:Woman type編集部)

実際にやってみたら「女の人の力ではできへんな」が最初の感想でした。スープを作る寸胴(ずんどう)は大きいし、出汁を取る骨を潰すのにも力がいる。

でも、それならスープは私が持てるサイズの寸胴で作ればいいし、骨を潰すのも機械を使えばいい。

チャーハンは中華鍋を振る力がないから、味付けをして炊飯器で炊いちゃう。熱々の鉄板にチャーハンと卵を乗せて、炒める作業はお客さんにやってもらっています。

その辺は主婦の知恵ですね。他のラーメン屋さんから見て正しいやり方なのかは分からないけど、みんなの知恵を集めながら、長く続けるための工夫をしています。

コンセプト以外は「その時に考えればいい」

お店をオープンして半年たった頃から、海外のお客さんが増え始めました。「何を見て来てはるんですか?」と聞く中で、SNSの存在を知って。お客さんや若いスタッフに「どんな写真上げるん?」といろいろ教えてもらいました。

そうやって生まれたのが『檸檬ラーメン』です。「お客さんが撮りたいと思うような商品を作ればいいやん」と思ってね。

檸檬ラーメンができてからは、お客さんの6〜7割は女の人になりました。舞子さんが来てくれることもあるんですよ。

檸檬ラーメン(写真:Woman type編集部)
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