日本の大人が「子どもより勉強しない」心的4要因 日本人が「リスキリング」にイマイチ消極的な訳

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西岡:なぜ手を上げないのか聞くと、「だって、間違ってたら嫌じゃないですか」。失敗することに対するハードルがすごく高いわけです。

これは「自分は馬鹿だから」と言う人にも通じています。その気持ち、実は僕もそうでしたから、よくわかるんです。予防線を張っているんですよ。自分のことを「馬鹿だ」と言っておけば、たとえ間違えても、「あいつ馬鹿じゃないか」と言われてプライドが傷つくことはないわけです。

後藤:なるほど。

西岡:でも、エジソンは、自身の失敗に対して「失敗したのではない。うまくいかない方法を見つけることに成功したのだ」と言っています。

僕は、高校生たちに、よくイチローの話もします。イチローは、メジャーの打席に10回立って3回しか成功していない。でも、3割で「スゴイ」と言われるんだぞ、と。

3:日本人にはびこる根深い正解至上主義

後藤:日本人にはびこる正解至上主義は、すごく根深いですね。それが日本のイノベーションの阻害になっているとも言われています。

後藤 宗明(ごとう むねあき)/一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事。SkyHive Technologies 日本代表。2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。2022年、AIを利用してスキル可視化を行うリスキリングプラットフォームSkyHive Technologiesの日本代表に就任。石川県加賀市「デジタルカレッジKAGA」理事、広島県「リスキリング推進検討協議会/分科会」委員、経済産業省「スキル標準化調査委員会」委員、リクルートワークス研究所客員研究員を歴任。政府、自治体向けの政策提言および企業向けのリスキリング導入支援を行う。著書に『自分のスキルをアップデートし続ける「リスキリング 」』(撮影:尾形文繁)

「失敗していい」という文化ができれば、みんなが新しい学びにチャレンジするポジティブなフェーズに入れると思います。しかし、心理的安全性の確保をやっても、失敗しないように教育されてきた大人が、急に「失敗してもいいよ」と言われるのですから、難しいんですよね。

西岡:そもそも、今後デジタルの世界になっていくわけで、そこに「正解」ってあるのでしょうか? 僕は、「正解」なんてものはない気がしているんです。

後藤:おっしゃるとおりです。僕は今、AIのベンチャー企業の経営もしているのですが、日本企業は「他の会社でこのAIを使ってうまくいっているかどうか」を知りたがります。

失敗したくないので、自社がどう取り組んでいくかを考えるのではなく、他社での成功事例をマネしたくなるわけですね。これでは、構造的にナンバーワンにはなれません。

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