日本の大人が「子どもより勉強しない」心的4要因 日本人が「リスキリング」にイマイチ消極的な訳
西岡:なぜ手を上げないのか聞くと、「だって、間違ってたら嫌じゃないですか」。失敗することに対するハードルがすごく高いわけです。
これは「自分は馬鹿だから」と言う人にも通じています。その気持ち、実は僕もそうでしたから、よくわかるんです。予防線を張っているんですよ。自分のことを「馬鹿だ」と言っておけば、たとえ間違えても、「あいつ馬鹿じゃないか」と言われてプライドが傷つくことはないわけです。
後藤:なるほど。
西岡:でも、エジソンは、自身の失敗に対して「失敗したのではない。うまくいかない方法を見つけることに成功したのだ」と言っています。
僕は、高校生たちに、よくイチローの話もします。イチローは、メジャーの打席に10回立って3回しか成功していない。でも、3割で「スゴイ」と言われるんだぞ、と。
3:日本人にはびこる根深い正解至上主義
後藤:日本人にはびこる正解至上主義は、すごく根深いですね。それが日本のイノベーションの阻害になっているとも言われています。
「失敗していい」という文化ができれば、みんなが新しい学びにチャレンジするポジティブなフェーズに入れると思います。しかし、心理的安全性の確保をやっても、失敗しないように教育されてきた大人が、急に「失敗してもいいよ」と言われるのですから、難しいんですよね。
西岡:そもそも、今後デジタルの世界になっていくわけで、そこに「正解」ってあるのでしょうか? 僕は、「正解」なんてものはない気がしているんです。
後藤:おっしゃるとおりです。僕は今、AIのベンチャー企業の経営もしているのですが、日本企業は「他の会社でこのAIを使ってうまくいっているかどうか」を知りたがります。
失敗したくないので、自社がどう取り組んでいくかを考えるのではなく、他社での成功事例をマネしたくなるわけですね。これでは、構造的にナンバーワンにはなれません。