日本の大人が「子どもより勉強しない」心的4要因 日本人が「リスキリング」にイマイチ消極的な訳
西岡:日本人は、時代が変わっていく感覚を持てないでいるんですね。
10代の子と話していても、「いまある仕事が10年後に残っているか」という視点で見ている子はとても少ないと感じます。本当は、自動運転やAIでなくなる仕事も多いのに、そういう目線でなく「親がこの職業に就いているから」といった理由で一生の職業を選ぼうとしていることが多いです。
でも、変化の時代なのですから、「学ばない」は選択肢にはなりえないと思うんです。
後藤:そうですね。しかし、「学びたくない」という心理的なハードルがあり、まず入り口に立てない人が多いことが課題です。「やりたい」という内発的動機を持てるかどうかが、リスキリングを継続できるかどうかの差を生んでいます。内発的動機があれば、仕事が忙しくてもなんとか時間は捻出できるものですから。
2:「学び」に対する成功体験があるか
後藤:僕は「学びに対する成功体験を持てているかどうか」に、この原因があると見ています。
僕は、1浪を経て早稲田に入りました。高校時代はサッカーしかしていなかったので、高校3年生の夏の全国模試は、偏差値22。そこから「早稲田に行く」と決めて、自分で計画的な勉強法を考え、3教科で偏差値70まで上げていきました。
ここで、生まれて初めて、「自分で正しいステップを踏めば結果が出せる。やればできるんだ」と感覚的に理解できたのです。
その後、ニューヨークで、やりたいことの見つからない若者たちのキャリア支援をしました。彼らを見ていて、伸びるか伸びないかは、受験での成功体験の度合いが大きく影響していると感じました。
そして、学びにおける成功体験の有無は、大人になっても大きな影響を与えています。
「学ぶことが楽しい」という体験をできていない社会人に話を聞いてみると、「自分は馬鹿だから」「もう50歳になったから、新しいことなんて覚えられない」という方がほとんどですね。
西岡:僕は、受験に失敗した子が多く通う高校で勉強法を教えていますが、彼ら彼女らに「この問題について、〇か×か挙手してください」と質問しても、誰もどちらにも手を上げないんです。