22年映画興収「100億超え4本」も喜べない複雑事情 ヒット格差が大きく、ディズニーも苦戦した

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大ヒットは生まれたが、年間興収ではどうか。1〜10月までの興収は前年比140%ほどで推移している。そのあとは、11月は最終興収150億円前後が見込まれる『すずめの戸締まり』(12月4日時点で75.9億円)があり、12月の『THE FIRST SLAM DUNK』も幸先の良い出足を見せている。

正月興行でどこまで年間興収が伸ばせるかによるが、2021年の1618.9億円を大きく上回るのは間違いなさそうだ。10月までの勢いを継続できれば、2000億〜2200億円台がひとつの目安になるだろう。

コロナ禍に突入した2020年(1432.9億円)から2021年、そして2022年と上昇カーブを描いて市場規模を回復させている。まさにコロナからの復興を遂げているわけだが、コロナ前との比較ではどうなるか。

2010年以降の年間興収は上昇基調にあり、2014年から2018年は2000億〜2300億円台を推移している。かつては日本映画市場は2000億円前後と言われていた。それを踏まえれば、今年はコロナ前の平時まで戻したとも言えるだろう。

ハリウッド大作シリーズが戻るも興行は伸び悩む

とはいえ歴代最高興収となった2019年(2611.8億円)までは届かない。その80〜90%の間でどこまで近づけるかになりそうだ。2019年と2022年は100億超えが同じく4本であった一方、年間興収では差がある要因のひとつに挙げられるのは、中クラスのヒットが減っていることだ。

シリーズ続編の興行力の低下とテレビドラマの映画化作品の低調ぶりは近年の課題であったが、コロナを経て中クラスヒット層の下降傾向がより顕著になった。

まず洋画を見ていこう。洋画が戻った今年は、前述の『トップガン マーヴェリック』のほか、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(64億円)『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』(45.8億円)『ミニオンズ フィーバー』(45億円)『スパイダーマン: ノー・ウェイ・ホーム』(42億円)『SING/シング ネクストステージ』(33億円)などが映画館をにぎわせ、幸先の良い洋画シーンのリスタートになったように見える。

たしかにコロナ禍の2年間と比べれば、大作がシネコンに戻ったことで3年ぶりに洋画興行を大きく底上げした。しかし、見方を変えるとその実情は異なる。コロナで洋画が止まった時期を経て、これだけ知名度も人気も大きなシリーズ続編の公開が続いているにもかかわらず、ほとんどがシリーズ前作から興収を大きく落としているのだ。

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