新興国の中央銀行はジレンマに陥っている。経済成長が低下しているため金融状況の引き締めを継続できない一方で、高インフレのため利上げを停止することもかなわない。
その結果、金融政策エラーのリスクが上昇。ポーランドやコロンビア、インドや韓国などの国は、経済を落ち込ませずに消費者物価を抑制できる借り入れコストの正確な水準を見極めようと綱渡りの状態にある。
新興国は前例のないペースで利上げしているにもかかわらず、投資家は今年に入り資金を引き揚げている。新興国のソブリン債は少なくとも2009年以来の大幅下落となったほか、通貨は年間ベースで1998年のロシアのデフォルト(債務不履行)以来最大の下落に向かっている。
10月以降の回復で下げは和らげられているものの、より規模の小さい国々は1回ミスがあれば本格的な通貨危機に陥る状況だ。さらに相場が下落すれば、資本市場へのアクセスが絶たれ、生活費危機やスリランカのような財政破綻となる恐れがある。
ハンガリー苦い教訓
ハンガリーはこの苦い教訓を学ぶ最初の国となった。世界で最速級の引き締めサイクルを受け、政策金利は1年4カ月で21倍余りになった。中銀は9月の政策決定後に一服した。
しかし、インフレが1996年以来の高水準に加速し、通貨が対ユーロで過去最安値に下落したため、その数日以内にタカ派姿勢を再開せざるを得なくなった。今では圧力が逆方向に高まっており、ブルームバーグが調査するエコノミストは2023年前半のリセッション(景気後退)入りを予想している。
ハンガリーの経験は、他の多くの新興国にとっても早期の警告となっている。東欧ではチェコとポーランドがそうした状況に半歩近づいており、両国では数カ月前に利上げが停止されたにもかかわらず、リセッション確率はそれぞれ82.5%、67.5%と見込まれている。
原題:Rate-Hike Fatigue Fuels Risk of Policy Error in Emerging Markets(抜粋)
--取材協力:、.
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著者:Maciej Onoszko、Srinivasan Sivabalan
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