クロアチア戦「前半耐えて後半勝負」は通用するか 久保、鎌田らの攻撃センスを生かす秘策に期待

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一方で、守備陣の方も構成を変えないといけない。というのも、板倉滉(ボルシアMG)が累積警告で出場停止になるからだ。となれば、ケガ明けの冨安健洋(アーセナル)には頭から出てもらわなければならないし、スペイン戦を欠場した酒井宏樹(浦和)の出場も望まれる。

ただ、2日の練習がオフだったこともあり、酒井の状態はまだ未知数。先の見通しが立たない。酒井が戻れば、2019年アジアカップ(UAE)段階の鉄板4バックである酒井、冨安、吉田、長友佑都(FC東京)が並び、計算できる陣容が揃うが、叶わなければ3バック続行が有力。目下、森保監督も人繰りに悩んでいるのではないか。

しかも、酒井、吉田、冨安に加え、谷口彰悟、山根視来(ともに川崎)もすでにイエローカードを1枚ずつもらっている。2枚目を出されてしまうと、仮に8強の壁を超えたとしても、次の準々決勝では複数人が出られないという最悪の事態も起こりうる。そうならないように、激しく敵に向かいながらもフェアプレーに徹しつつ、高さのあるクロアチアのクロス攻撃やリスタートを阻止すること。それが勝利へのカギとなりそうだ。

次を担う子供たちに新しい景色を

今回のカタールW杯での躍進は、これまで日本代表やサッカーに関心のなかった人々にも興味を抱かせる絶好の機会になっている。「自分たちの目標はあくまでベスト8の壁を破ること。ここでや気を緩めず、満足せずに、もう1個上に行って、自分たちが新しい景色を見たい。それが日本のサッカーの発展に絶対つながる。子供たちは次の試合を見て、10年後の代表になる。『この試合を見た』という若い世代が増えれば、それが日本のサッカーの進歩につながる」

キャプテン・吉田は語気を強めたように、本当にクロアチア戦で勝ち切れるかどうかで、日本サッカー界の未来は大きく変化する。この修羅場をくぐり抜けられるのか。彼らの真価が問われる一戦が間もなく幕を開ける。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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