「猫を40年観察した写真家」が発見!"熟睡"のコツ 「ぐっすり寝たい」猫に学んだ大切な3つのこと

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不眠で悩む人の多くが訴えるのが「寝つきが悪い」ことでしょう。ところが猫は、寝床に丸まって目をつぶった瞬間に寝落ちしています。

私はこの寝落ちの様子を、またド真剣に観察してみました。その結果、わかったことがあります。

【眠りの達人ポイント③】「身体の感覚のスイッチ」を1つずつ切っていく

それは、猫は寝るときに「『身体の感覚のスイッチ』を1つずつ切っている」のではないかということ。

つまり、四肢の指先、ヒゲ(触覚)、耳(聴覚)、シッポと、その日によって順番は異なるけれども、体のパーツを次々と弛緩させているのです。 

その過程は必ずしもじっとしているわけではなく、頭を動かしてみたり、寝ながら伸びをしたり、前脚で「いないいないばぁ」のように顔を隠してみたりなんかもします。

これは私たち人間にも、ものすごく有効だと思います。

布団に入ったら両足、両腕、お尻、腰、おなか、腕、胸、首、頭と、「身体の各部位の力」を、どういう順番でもいいので意識的に抜いていくのです。すべての力が抜けると、布団に体が沈んでトローンとしてきます。

トルコのマルマリスは、エーゲ海に面したところにある町。1日の気温の差が大きいので、日があたると猫たちはこぞって日向ぼっこする。最初は丸まっていたのに、徐々に体がほどけはじめ、全身が開いていった。とけるように伸び、頭から落ちそうになったところで気がついて、落ちずに済んだ(写真:新美敬子)

5秒で寝落ちする「猫的思考法」を身につける

猫は寝るときに、余計なことは考えません

「猫だから当たり前じゃないか」って? 

『世界のまどねこ』(講談社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします 

いえいえ、猫だって「眠いけど、やっぱおなか空いたかも」とか、「今日はカッコよく塀に飛び乗ったつもりが失敗して悔しい」とか、今日のあれこれが脳裏に浮かびます。でも、とりあえず、寝る前に反省はしません

猫はたぶん「記憶の消しゴム」を持っていて、都合の悪いことは全部消してしまうのでしょう。

「まっ、いっか」

「明日の心配は明日しよう」

「明日はきっと今日よりごはんがおいしいはず……」

「不愉快なこと」はどんどん記憶から消して、「都合のいいことだけ」を考えているうちに、いつの間にか夢の世界へ――という具合です。なんと無駄のない思考法でしょうか。

そして起きたときにはもう、今日のごはんや快適な場所を探して活動し始めるのです。これこそ「快眠の極意」かもしれません。

猫は箱が大好き。四方を囲まれたスペースにそっくり体をあずければ、使う筋肉は少しで済むから。こんなに体を折り曲げて痛くないの? と心配になるが、とろけているから大丈夫なのだろう(写真:新美敬子)

いかがでしたか? 

猫はああ見えて「寝ること」に対して、ものすごく真剣に対峙し、常に、より気持ちのいい寝床を貪欲に追求しています。

私たちも猫にならって、気持ちよく、とろ~りとろける快眠を手に入れましょう。

新美 敬子 世界を旅する犬猫写真家

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にいみ けいこ / Keiko Niimi

愛知県豊橋市生まれ。郵便局勤務を経て、テレビ番組制作の仕事に就き、海外の猫を撮りはじめる。その後「犬猫写真家」を名乗り、写真家として活動する。世界各地を旅して街角で出会う犬や猫と人々との暮らしを撮影。訪れた国は70カ国を超える。「猫びより」などの雑誌や写真集でエッセイとともに紹介している。代表作『旅猫』(講談社・フォトルピナス)をはじめ、『マルタの猫』『すて猫カテキン』『猫の旅 地中海』『世界の看板にゃんこ』(すべて河出書房新社)、『猫のハローワーク』『猫のハローワーク2』(講談社文庫)など、著作は60作を超える。近刊は『世界のまどねこ』(講談社文庫)

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