64歳で新しい仕事へ進む人に学ぶ転機のつかみ方 ヘアメイクのカリスマ、藤原美智子さんが選んだ道

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2022年、NHKの講座で教える藤原さん

長らくヘアメイクアーティストとして、いち個人として、たくさんの女性に出会い、その美しさや生き方に向き合ってきた藤原さん。最近、よく感じることがあるという。

「私の体感ですが、昔よりも皆さん10歳は若返っていますよね。見た目も意識も生き方も。今の50代は、かつての40代。今の40代は、昔の30代という印象です。ただ、不思議なことに60代だけは、昔の60代と変わらないような……。どうしてでしょう? 私の周囲の60代はそんなことないですけど、旧態依然とした初老になっている人は多い。60代だって、これから新しいことを始められる世代であり、時代なのに」

60代目前の5年前、2017年にはライフスタイルブランド「ミチコドットライフ」をリリース。マスカラなどの化粧品のみならず、着圧ソックスなど意外な商品も開発・プロデュースしている。

「私が作り、提案しているものは、本質を追求したものです。たとえば、化粧水。炭酸化粧水を作ろうと考えたのは、血流を良くすることが肌にとっては根本的に大切なことだから。それから、美の土台は習慣から育まれますから、習慣として取り入れやすいものも提案しています。着圧ソックスは、生活に取り入れることによって、体に溜め込みがちなむくみや疲れを少しずつ解消することができます」

学びたい、成長したい思いこそ、生きるエネルギー

20代の頃、「内面からの本物の美を作りたい」と願っていた彼女にとって、今、たどり着いた新しいステージは、その志を叶えられる場所だ。

「結局、20代の頃から考えていることは変わらなくて、その志が私の道を作ってくれました。ライフスタイルや生き方を通じて内面を豊かにした先に、さらなる美しさや幸せも待っていると思っています」

芳麗さんによる連載5回目です

今は「ミチコドットライフ」のプロデュース業とともに、60歳のときに始めたバレエに夢中だという。

「目標は、70歳までに美しく踊れるようになること! 私にとって学びたい、成長したい思いこそ、生きるエネルギーなんだなと。やり切ったと思えたヘアメイクと違って、バレエはできないことばかりですが、少しずつでも成長していくのが楽しくてたまらない。ブランドのプロデュースや経営も、まだわからないことばかりで難しさも感じていますけど、これも自分にとって必要な負荷だと思って楽しんでいきたいです」

この先も変わりゆく時代とともに、自分も変わり続けることが必然だと彼女は考えている。藤原さんなら、70歳のバレリーナとして、また新しい花を咲かせてくれるに違いない。

(この記事の前編:ヘアメイクの革命児、藤原美智子さん引退の真相

芳麗 文筆家、インタビュアー

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よしれい / Yoshirei

NHK山形放送局のキャスター業を経て文筆業に。女性の生き方をメインテーマに、雑誌、書籍、Webなど数多くの媒体で執筆。人物を掘り下げたロングインタビューを数多く手がけるほか、恋と愛、生活、カルチャーなどにまつわるコラムも好評。著書に『3000人にインタビューして気づいた! 相手も自分も気持ちよくなる秘訣』(すばる舎)、『ラブ・リノベーション』(主婦の友社)など。音声番組Voicy「芳麗の女と文化の話café」では、本連載に登場した方々とのリラックストークも。日々の生活や取材活動から、生きづらい時代を“幸せに生きるヒント”を多面的に探究して発信中。HPはこちら

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