「ハイヒールを履いた僧侶」の正々堂々とした人生 西村宏堂さん「ユニークな自分として生きていく」

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「ハイヒールを履いたお坊さん」西村宏堂さんの生き方とはーー(撮影:今井康一)
西村宏堂さんという人を知っていますか? 
LGBTQ活動家、僧侶、NYの名門パーソンズ美術大学出身のアーティストと、3つの肩書を持ち、アメリカTIME誌が選ぶ世界の「次世代リーダー」21人の1人にも選出。
一昨年夏に出版された著書『正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ』は、7つの言語による翻訳版も出版されるなど、世界中から注目を集めています。さらに2022年末の紅白歌合戦ではゲスト審査員も務めることに。
“ハイヒールを履いたお坊さん“と呼ばれ、その活動や発信が多くの人に支持されている、西村宏堂さんの何度でも開花する生き方とは――。

東京の中心部、西村さんの生家であるお寺を訪ねると、印象的な装いで迎えてくれた。

古くなった僧侶の伝統的な袈裟を現代的にアップサイクル(捨てるはずだった製品を新しい価値を与え再生させること)したもの。鮮やかな色合いの袈裟にイッセイ ミヤケのモードなパンツや煌びやかなアクセサリーの組み合わせは、不思議と調和が取れて美しい。

「今日は室内なので履いていませんが、普段はここにハイヒールを合わせることも。世間の方々が見たことない姿で街を歩いて、驚かせるのは私の役割だと思っています。驚かせるだけでなく、『こんなふうに自由に発想したり、装ってもいいんだ』と誰かが新しい一歩を踏み出すきっかけになれたらいいなと。

社会の中で生きていると、知らず知らずのうちに自分を狭いおりに閉じ込めてしまいがち。多くの人は『普通の人は』『こう生きるべき』なんて価値基準にとらわれ、自分の本心や本質にふたをしてしまう。私は、そんなみなさんの心のふたを開く手伝いをしたいんです」

“自分の心にうそをつくことは罪である”

仏教の戒律から学んだこの教えを、彼は大切にしている。彼自身が過去に長い間、自分にうそをついて苦しんできた経験があるからだ。

「18歳までは同性愛者であることを誰にも打ち明けられませんでした。きっと理解してもらえないし、見下されたり、差別されることが怖かったんです」

現在、33歳。今や世界から脚光を浴びる“時の人”となった彼も、「これまでの人生の3分の2は暗黒の日々だった」という。

では、いかに人生の暗黒期から抜け出して、自分らしい自由な生き方を手に入れ、光ある場所へとたどり着いたのか。西村さんの思考と経験からは、自己実現して生きていくためのヒントが得られるはずだ。

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