「黙って聞いていればよかったのですが、私も言い返してしまったんです。私は毎日のように通っていたスポーツジムをやめて節約しているのに、カレは1年以上も行っていないジムの月会費を払い続けているんですよ。今まで言わずに我慢していたけれど、つい口に出してしまって……。朝になってもカレは怒っていて、毎朝作っているお弁当を持って行ってくれませんでした」
よほどショックだったのか、恵子さんは気持ちを吐きだすように話し続けている。明夫さんが勤務する日本的経営の大企業を「昭和」と表現するが、恵子さん自身も内面はかなり「昭和」だと感じた。
ただし、恵子さんは「27歳で結婚していたらキレていたし、貯金なんてそもそも考えられなかった。というか、カレとは結婚していなかった」と告白する。明夫さんと結婚したのは恵子さんが37歳のときだ。10年間で何があったのだろうか。
「破滅行為」がもたらした、前夫との離婚
実は、恵子さんは一度離婚を経験している。前夫は、学生時代から付き合って6年間も同棲した「大好きなタイプ」の男性だったという。
「知的で想像力も豊かなクリエーターでした。私は精神的にめちゃくちゃ頼っていましたね。土日にパジャマ姿でボヤーッとしている彼を無理にでも外に連れ出そうとしたり。彼にまとわりつくのが愛情だと勘違いしていたんです。自分が寂しくて寄りかかっていただけなのに。平日は懸命に働いているのだから、休日ぐらいはゆっくりさせてあげればよかった……」
30歳で離婚した後、3年間ほど付き合った年下の男性もいたが、結婚には至らなかった。恵子さんは複数の婚活サイトに登録し、お見合いパーティにも積極的に参加。週に2、3人とはデートしていた。しかし、付き合えても長続きしない。外見が派手な恵子さんは、遊び目的の男性に目を付けられやすいのかもしれない。
明夫さんも最初はそのひとりだった。なんと最初のデートで告白もせずにキスを迫ってきたという。憤った恵子さんは明夫さんからの連絡を無視した。
「ほかの男性としばらく付き合ったのですが、やっぱり別れてしまって婚活サイトに復帰しました。カレがすぐに見つけて、『1年ぶりです。覚えていますか?』とメッセージをくれました。会ってみたら以前よりも落ち着いていて、『お互いに婚活の成果がなかなか出ないね』と和やかに話すことができました」
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