習近平「微笑外交」に日本はどこまで応えるべきか 3年ぶり首脳会談は「対日関係修復」のシグナル

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11月17日の首脳会談で中国の習近平国家主席(右)に着席を促される岸田文雄首相(写真:時事通信)

10月の中国共産党大会で3期目入りを決めた習近平は、党大会後初の外遊となるG20(20カ国・地域)首脳会議やAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議に参加し、3時間に及ぶ米中首脳会談もこなした。さらに日中首脳会談では岸田文雄首相と和やかに握手した。

中国共産党指導部は、これまで進めてきた外交が経済成長に有利な環境を作り出すことに成功していないと認識しており、3期目に入った習近平の中国は、対外的な発言ぶりは別として、外交関係を軌道修正しようとしている。中国外交は何をしようとしているのか、そして、日本はそれにどう向き合うべきなのだろうか。

にわかに活発化する中国外交

G20首脳会談およびAPEC首脳会議の期間中、習近平は、14日の米中首脳会談に続き、15日にはフランス、オーストラリア、韓国など8カ国との間で、16日には2カ国との間で首脳会談を実施した。

タイに場所を移した17日には日中首脳会談の他、フィリピン、シンガポールとの間で首脳会談を行い、18日にはブルネイを初めとする4カ国との首脳会談、19日にはアメリカとの間で再度ハリス米副大統領と立ち話をしている。

単純な比較はできないが、5年前に総書記に再任された直後の2017年のベトナムAPECにおいて、習近平が行った会談の相手は、訪問先を除けば、ロシア、日本、韓国、フィリピンだけであった。このタイミングで首脳会談が数多く行われたのは、新型コロナウイルスの影響によりここ数年、習近平が外遊できていなかったことや、日程上の都合といった他の要素もあるのかもしれない。

しかし、短期間にこれだけ多くの国との間で会談を行い、かつ習近平が笑顔で各国首脳と握手する写真を次々と対外発表するのは、対外関係の流れを変えたいという中国指導部の認識の表れと考えるのが自然だろう。

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