無糖なのに甘い「かごしま知覧紅茶」ヒットの要因 全国的には馴染みのない産地をフォーカスした
ポッカサッポロフード&ビバレッジの「かごしま知覧紅茶」は、2016年の発売以来5年連続で売り上げを伸ばしている。コロナ禍でペットボトル飲料全体の売り上げが落ち込む中、2020年も前年比117%の伸びを見せた。
著者は初めて飲んだとき、今までのペットボトル無糖紅茶とは違ったタイプの味わいに驚いた。渋みや苦みがなくすっきりした飲み口で、後味に甘い余韻がある。そのまま飲んでもいいが、氷をたっぷり入れたグラスに注いで飲むとキリリと冷えた紅茶がスルスルと喉を通ってより美味しく感じられた。
さっぱりした味わいだから食事と合わせても邪魔にならないし、お菓子と合わせても引き立つ。新しい味タイプのペットボトル紅茶だと思った。
好調の背景には何があるのか? そして無糖なのに甘いのはどうしてなのか? メーカーの担当者と、知覧のある南九州市役所に取材をした。
ヒットの背景は「すっきり系の味覚トレンド」「甘さ離れ」
「売り上げが5年連続で伸びているのは、『無糖なのにほのかに甘い』味わいが支持されたからだと思います」とポッカサッポロフード&ビバレッジ・価値創造飲料事業部の肥後亮氏は分析する。背景には、大きく2つのトレンドがある。
まず1つ目は、2016年頃からすっきり系が味覚のトレンドになったこと。それ以前、2011年に「午後の紅茶おいしい無糖」(キリン)が販売され、従来の紅茶ペットボトル飲料とは違う砂糖の入っていないさっぱりした飲み味のものが親しまれるようになっていた。
2017年には、従来のコーヒー飲料と比べてかなりすっきりした味わいの「クラフトボス」(サントリーフーズ)が販売開始してヒット。
「今は、ノンカフェインの麦茶などすっきりした味覚の飲料に子どものころから親しんできた人が増えてきています。その反面、おそらく苦み、渋みにさほど馴染みがない方も増えてきています。今の緑茶ペットボトル飲料も、苦み渋みがそんなに強くない味の傾向にあります。『かごしま知覧紅茶』もカフェインは11mgと低カフェインです」
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