無糖なのに甘い「かごしま知覧紅茶」ヒットの要因 全国的には馴染みのない産地をフォーカスした

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ペットボトル需要で紅茶生産が拡大

今、知覧のある南九州市の紅茶生産はどのような状況なのだろうか? さらに、南九州市役所茶業課の瀬川芳幸課長に話を伺った。

茶業課の給湯室。試飲や味比べのために、8リットルサイズの大きなやかんがあるのが印象的だった(著者撮影)

南九州市の紅茶生産量は、2017年4.5トン、2018年0.9トン、2019年16.2トン、2020年6.6トン、2021年237.3トンと推移している。増えたり減ったりを繰り返しながら、2021年に大幅に生産量が伸びた。

「2021年に一気に増えたのはペットボトル需要ですね。売り値もペットボトル緑茶用よりもちょっと高いです」

ただし、これからどうなっていくかは、需要や価格、複雑な要因が絡む。生産量が増えすぎれば、価格低下を招くことにもなる。

「抹茶がそうなんですよ。全国的に抹茶の材料となる甜茶の工場が非常に増えました。すると価格が暴落するのは当たり前ですよね。日本国内も大体のお茶の市場規模が決まっているから、やはりこれからは海外へ出していかないといけないです」

何かの生産が増えるということは、味づくりだけでなく価格設定や売り先などさまざまな課題を生じさせる。けれど、お茶は毎日の仕事や家事の合間にほっと安らぎをもたらしてくれる素敵な飲み物だ。これから国産紅茶という選択肢が入ってくるのは、消費者の楽しみが増えることでもある。

筆者としては、「かごしま知覧紅茶」のようなペットボトル製品が入り口になることで、国産紅茶に親しむ人が増えたり、知られていないだけで全国にある歴史やストーリーに興味を持つ人が増えたらいいなと思った。

横田 ちえ ライター

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よこた ちえ / Chie Yokota

鹿児島在住。WEB・雑誌での執筆のほか、企業のオウンドメディア運営やパンフレット製作など幅広く活動。日ごろから九州を中心に全国あちこちを巡り、取材テーマを模索している。最近特に力を入れているテーマは離島や温泉。

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