予約サイト作成サービス「MOSH」誕生の深い経緯 海外旅で触れた個人間取引にネットの本質を見た

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(写真:トヨダリョウ)

ネットの普及で人の生活が相対的に見えるように

── 世界一周!?

籔:グローバルでどういうサービスが広がっているのかを見てから、起業したいと思っていたんです。2017年1月からアジア、インド、アフリカ、アメリカとなどを一通り旅したんですが、その頃、僕が回った国々ではC to Cの個人間の取引、今で言うとメルカリさんのような、個人と個人が取引を行うってことが一般化していまして。特にアジアでは、アプリでマッチングしてタクシーのようにバイクに来てもらうとか、マッサージをしに来てもらうとか、個人間取引みたいなものが非常に普及してたんです。

それを見て、こういう個人間取引みたいなものがインターネットの本質であり、この流れは今後も広がっていくな、と感じたんです。当時の日本ではそういうサービスはまだあまり普及していなくて、世界とかなりギャップがあったので、この原体験は凄く衝撃的でした。そこで得た体験を元に『MOSH』というサービスを作ったので、そういう意味ではベースとなるアイデアは世界一周のときに練られたかなと思っています。

── 確かに、アジア圏の方々のデジタルツールの使いこなし方は目を見張るものがありますし、上昇志向の熱さが日本人とはちょっと違う気がします。

籔:そうなんですよね。いろんな方に話が聞きたいと思ったので、企業家や投資家、普通に働いてる方も含め、20代30代の若い方々150人ぐらいとお会いして……。

── えっと、結構さらりと言われましたが(笑)、海外でいろんな人と会うって、どうしたらいいんですか?

籔:企業家や投資家さんはご紹介していただいてますが、紹介がない場合はマッチングアプリなどを使いました。

── なるほど、マッチングアプリはそういった使い方もできるんですね。印象に残っている出来事はありますか?

籔:会った人たちはみんな、自分のやりたいこととか、“情熱のありか”みたいなものを模索しているなと感じました。アジア、インドも含めて、生活的なインフラはかなり整っている時代になってきています。アフリカのマサイ族の村でもそうです。マサイ族の村はそもそも観光資源が70%くらいで成り立っているので、若い人は英語を話せます。携帯も使っていますし、フェイスブックとかで世界中の人と繋がっているので、情報が普及してない時代と違って、いろんな生き方の選択肢みたいなものを見ることができました。

村で同じ歳くらいの青年と話した時「日本ってどんな国なの?」とか「ここでのこの暮らしは、自分のやりたいことではないんだよね」など、自分の意思みたいなものが言葉の中にたくさん出てきて。マサイ族は15歳になると、ライオンを仕留めるという儀式があるんですね。通過儀礼として、ちゃんと大人になったよというステップみたいなものらしいんですが、そういうことも含め、考えることもたくさん出てきたんだと思います。

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