希代の勝負師・森保一監督「超攻撃布陣」の意図 選手も驚き、ぶっつけ本番の3バックがズバリ

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サッカー 森保一 日本代表
ドイツ戦の勝利を選手たちと喜ぶ森保一監督(写真:時事)

日本の命運を大きく左右する23日の2022年カタールワールドカップ(W杯)初戦・ドイツ戦。前半45分間を見た多くの人々が「このまま0-3、0-4で負けるだろう」と悲観的な気分になったのではないか。

実際、日本のシュートは終了間際の前田大然(セルティック)のバックヘッド1本のみで、ボール支配率は8対2の劣勢。自陣で守備ブロックを作って跳ね返すのが精一杯で、イルカイ・ギュンドアン(マンチェスター・シティ)のPKによる1点にとどめられたこと自体が奇跡的な出来事だったからだ。

しかしながら「サッカーは試合をやってみなければ分からない」と森保一監督が語気を強めた通り、彼らは全く勝利を諦めてはいなかった。指揮官には秘策があったのである。

試合の分かれ目となったシステム変更

それが後半頭からの3バックの導入だった。 「試合の一番の分かれ目? 後半の初めにシステム変えたことかなと思ってます。あそこで『最初の10~15分様子見て』といった感じだと相手へのプレッシャーもあれだけハメることはできなかったと思う」と中盤の要・遠藤航(シュツットガルト)が神妙な面持ちで語った通り、この決断は非常に大きかった。

「僕たち自身もここで3バックをやるとは思ってなかった。監督は可能性を示唆していたけど、正直、ぶっつけ本番でした。これまでも試合の最後のところでやることはあったけど、最初から3バックで行ったことはなかった。ここで決断をした監督は本当に素晴らしいと思ってます」と三笘薫(ブライトン)も驚き半分だったことを明かす。

日本代表は17日のカナダ戦(ドバイ)の後、19~22日の4日間、メディアをシャットアウトして非公開練習を行い、ドイツ戦対策を入念に実施。その中で3バックにも多少なりとも触れていたようだが、三笘が言及する通り、大半のメンバーが「試合終盤などに限定的にやる」という認識だったようだ。

けれども、森保監督はリスク承知で後半頭から賭けに出た。開始直後は左DFに入った冨安健洋(アーセナル)と左ウイングバックに上がった長友佑都(FC東京)の位置取りが中途半端で、そこをドイツ攻撃陣に突かれそうになるなど、不安定さも垣間見えた。

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